チチ「そもそもぢゃ。教師に出された質問なりテスト、すなわち、あらかぢめ答えが用意されている、敷かれたレールに、疑問無く乗っかって、それを優秀にこなしたからって、何が偉いものか!!おめえの言う百点とは、ただ単に、出された餌を残さず綺麗に食べる牛や豚と一緒だっちゅ~の(←ゼスチャー付)!!」
ムスコ「だっちゅ~の・・・て、古ッ!!」
チチ「うぉっほん・・・(外したか?)。古いも新しいも無え。ええか、ムスコよ。ワンパクでも良い、たくましく育って欲しい・・・てな、テレビCMから生まれた流行語があったが(←またも古い)、ワシはあえて、こう言おう。反発しても良い、たくましく育って欲しい・・・と。」
ムスコ「ぢゃあ、何?チチギミは、テストを白紙で出せとか、突拍子も無い解答を書き込めとでも言うの?」
チチ「チャウわい!!わしが、そう言うストライキ的な、何も努力せずして何かを得ようとする輩を嫌いなのは、おまんもよう知っとうぜよ?ええか、ワシが言うとるのは、百点満点の百点を超えろと言うコッタ。まあ、仮に百点取れんでもええわい。出された問題に全問正解する事ぐらい、日本中の何人ものお子様がクリアし得るんやから、そんなものは勉強以外に取り柄の無い優等生やロボット三等兵に任せとけってコッタ。おめえが本当にワシのムスコであるならば、出された問題を解くだけに飽きタラズ、さっきも言うたが、設問の不備を突くも良し、あるいは、テスト問題作成者の用意した模範解答を超える、予想もしない答えを出せって事よ。そこまでやって、初めて百点満点を超える101点を獲得出来るのぢゃ、フォッフォッフォッ・・・テコト。」
ムスコ「無茶苦茶や!!このオッサン!!無茶やて、そんなん!!イッツ・オンリー・リフジンやて~!!ホンマのトコロ。」
チチ「なんや?リフジンってな、李婦人って事かいな?まあ、ええわ。ええか、ムスコよ。負けと思うな、思えば負けよ(だったかな?)って言葉もある様に、ワシがおめえを学校へ行かせとる理由は、何者かに仕組まれた無意味なレースに強制参加させられ、他の生徒と競い合わせる事が目的ぢゃあ無え。うんにゃ、もちろん、学校や教育の真の目的はそこにある。ワシら庶民を競い合わせ、ワシらが人より抜きんで少しでも上に行こうとすればするほど、もっと上の方で、ワシらを操っている奴等が、更に肥え太るってな仕組みよ。だ・か・ら・こ・そ、おめえまでが、そんな馬鹿げたレースに参加して、百点とったのなんのと、人間が本当に“生きる”と言う事とは無縁の喜びに浸っている様が、わしには許せんと同時に、無性に哀しかったんよ。そう、ワシがおめえを学校に行かせとる真の理由は、おめえを教師や学校と闘わせるため、ひいては、このリフジンな社会構造とケンカさせるためよ。」
ムスコ「だったら、学校なんか行かなきゃ良いぢゃん・・・。毎日、遊んでいられるしさ・・・。」
チチ「それで自由になったのかい?それで自由になった~つもりか~い?」
(つづく)
ムスコ「では、チチギミ、答えてそうろう」
チチ「よかろう」
私は、テーブルの前に、ムスコと向き合う様に座り、誰にともなく語りかけるかの様に、静かにしゃべり始めた。
チチ「ええか、ムスコよ。今からワシが話す事は、おそらくは、チチよ貴方は偉かった・・・と、おめえに言わしめる事間違い無しの、超教訓であり、人生相談のコーナー、すなわちユア・ライフにおけるデンジャラスな急カーブを上手に曲がりきるためのアドバイス的名回答やけんのう。耳の穴かっぽぢって、よう聞きサラセニアン」
ムスコ「前置きは良いから、早くして~!!ぼっくん、待てない症候群の、若き血潮燃える、熱血ヤングマンだもの・・・」
チチ「よっしゃ、よう言うた。ええか、おめえが今回、自慢シタガってる百点満点なんちゅうものは、つまる所、出された問題すべてを、穏便にこなしただけであり、あらかぢめ用意された答えを、ただ引き出しただけにすぎんのぢゃぞなもしかして」
ムスコ「え~!!だって、それが真っ当なテスト攻略法であり、学歴社会で生き抜く基本中の基本でしょ?」
チチ「ええから、最後まで黙って聞きんシャイ・ボーイ。この世で生き抜くにはのう、ただ目の前にある障害を乗り越えるだけでは無理なんぢゃ。生きるって事は、生きるって事は、生きるって事は、生きるって事は・・・、そんな1足す1は2になる様な、簡単なものでは無いって事よ。てやんでえ」
ムスコ「でも・・・」
チチ「みなまで言うな!!解かっちょる。おまんの言わんとする事は、よ~・・・く、解かっちょるぜよ。だがな、ムスコよ。おっ!!今、だがな・・・って言った時、ガキの頃に盗み読んだ成人向け雑誌の通信販売の広告ページに載ってた、南米ガラナチョコの事を一瞬思い出したけど、ジェネレーション・ギャップ激しい今日この頃、通ぢる者は久しからずか・・・。まあ、それは置いといて・・・」
と、私は、またもテレビ番組に由来する古いネタである、箱か何かを抱えているかの様に突き出した両手を正面から小脇に移動するゼスチャーを行なった後、ついに本題に突入する覚悟を決めた。
チチ「例えばぢゃ。設問における誤字や、間違った言い回し等、そのテストを作成した者の不備を突く事も出来ようし、更には、模範解答を超える回答をする事によって、教師をうならせる事が出来たなら、それは百点満点における百点以上の出来、すなわち101点を獲得したとは言えまいか?あっ、言えまいか~!!」
ムスコ「チチギミ、僭越ではありマスるが、拙者、その屁理屈極まりない回答には、意義申し立てしてやまない気持ち爆発寸前な開戦前夜のこころ持ちを隠し切れず、思わずぶちまけずにはおれない気持ちエスカレーションでありマンモス!!」
チチ「むむっ・・・」
私は、口答えするムスコに対し、不快感を覚えつつも、こやつ成長したわい・・・と、親馬鹿ぶりを発揮し、しかしながら、こみあげる理不尽な怒りに突き動かされずにはおれない自分を、もう制止する事はママならん!!・・・とばかりに、「ヨイショ!!」・・・っと、ぶち切れた。
チチ「ミリオンダラ~!!・・・ぢゃねえや、マチゲ~タ。てへへ・・・、アホンダラ~!!」
(つづく)
ああ、チチとムスコ、刺し違えかねない、親子間最終戦争勃発か!?
待て!!興奮の次号!!
チチ「百点がどうしたっちゅうんなら~!!そんなん普通に極当たり前に有り得る事象やんけ。通常の理解の範疇を超える出来事が起きたっちゅうんなら、ビックラコキもするけどのう。いちいちそんな事、報告つかまつるんぢゃねえ!!」
ムスコ「そんな・・・。そんな言い方って、無いぢゃん!!チチギミは、可愛いムスコが愛しくないの!?」
チチ「愛しい、愛しくないの問題ぢゃあ無え!!・・・ええか、よう聞け、ムスコよ。」
私は、窓を明け、夜空にきらめく一番星を指差そう・・・と、思ったが、まだ日の暮れぬ午後4時である事に気づき、少々、恥ずかしさを隠し切れなかったが、そこはあえて押し切った。ムフフ・・・(しばし、自己陶酔)。それが大人よ、それが男よ。
ムスコ「何、ひとりでニヤニヤしてんだよ~!!」
チチ「うおぅっほん。ええか、ムスコよ。今から、このチチが、貴殿に対し、一大発表をするが、こころして聞くように。仮にショック死したところで、ワシは一切責任持たぬぞよ。それでもヨカトン?」
ムスコ「その挑戦、受けて立つ!!」
チチ「ええか、お前は百点取ったって喜コンドルけどの~。百点満点のテストなら、百点取るのが普通にノーマルで、それ以下なら、あんた駄目ね~!!って事なんよ。もしもだ、もしも仮に、おめ~が、百点満点のテストで101点取ったと言うのであれば、それは全日本ビックリ大賞への参加対象にもなるやろうし、このチチにとっても、青天の霹靂とでも言うべき、驚くべき事実であると言う事は、無きにしもあらずんば、孤児を得ず・・・テコト。」
ムスコ「そんな~!!百点満点のテストで、どうやって、101点取れって言うのさ~!!そんなんムリッショ!!」
チチ「いや、それが、あながち無理では無いのだ。」
(つづく)
このお話は、ひっ・・ひっ・・・ひっ・・・、ひ~っくしょん!!デス。
午後4時、テレビを見ながら、居間でごろごろしていると、小学5年生のムスコが帰宅。
ムスコ「パパ~ン!!ぼっくん、今日さ~、学校のテストで百点とったよ~ん、ほめて~!!」
チチ「それが、どうした・・・。」
私は、ムスコの顔を一瞥すると、ぷいと、テレビの画面に視線を戻した。
ムスコ「どうしたもこうしたも、百点だよ?百点。百点満点の満点だっちゅ~の。満点パパってのはあったけど(←古ッ!!)、満点ムスコってのは珍しいでしょ!?通常ならば、勲一等ものだよ。ママンにも通達してよ!!」
チチ「アホか、ワレ!!」
(つづく)
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