Mr.エレクトの独り言 広島パンク~ハードコア
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

C.O.Pのライヴ告知!!

C.O.Pが久々にライヴをやるそうデス!!今回は、下北の45REVOLUTIONと言うパンク・ショップの4周年記念ライヴに出演するとの事!!彼らのライヴはいつまた観られるか解らないので、是非この機会に足をお運び下サイませ~!!(^^)/

C.O.P

■<45REVOLUTION 4TH ANNIVERSARY REVOLUTION ROCK 2010>
2010年5月15日(土)@下北沢SHELTER
http://www.loft-prj.co.jp/SHELTER/
OPEN 16:00 / START 16:30
ADV.¥1800 / DOOR ¥2000
★その他の詳細は、上記webサイトにてご確認下サイ!!(^^)b
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「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」④

<言い訳>たはは・・・。作成してた文章が途中で消えてしまった上に、その後も日々忙しく、更に昨年は清志郎が死んだりして意気消沈したせいもあるとは言え、(つづき)のまま、ほぼ1年間もお待たせしてしまい、申し訳ありマセンでした~!!(^^;)

(過去掲載記事)
■「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」①
■「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」②
■「C.O.P.復活ライヴ~CD発売記念ライヴ告知」
■「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」③
(~のつづき)

さて、C.O.Pの進化の軌跡が持つ真の意味合い、そしてハードコア・パンクの歴史に残したその重大な意義とは何であるのか?と言う点についてだが・・・。

わが国日本においては、ハードコア・パンクのみならず、そもそも音楽自体が、欧米から輸入された最新流行品にいくらか手を加えて日本流にアレンジすると言うのが主流であった。そしてそれは革新的な精神を持っているはずのパンク・ロックにおいても同様であり、むしろポスト・パンクの方が斬新なスタイルを発明する可能性がいくらかは残されていたのだが、しかしそれもまたポスト・パンク的な音楽スタイルをただ踏襲するだけと言う元も子もない状況だったと言うのが一般的な見解であろう。

そんな中にあって、日本のハードコア・パンク・バンドも、メタル・コア化、ノイズ・コア化、スラッシュ化等々、様々な変化を見せる訳であるが、その殆どはいずれも既存の音楽的スタイルを選び取っているだけに過ぎず、当初はハードコア・パンク・バンドとしてデビューしたソドムに至っては最早ハードコアのハの字もない流行の最先端の借り物音楽へと次々モード・チェンジを繰り返す有様であった。・・・とは言えもちろん、その一方ではガーゼの様に結成当初からその後何十年にも渡ってエクストリームで過激なサウンドを独自に追求し続けるバンドも居れば、エクスキュートの様にリーダーでありギタリストであるLemmy氏が持つ美意識を忠実に楽曲へ反映させて行ったバンドも居たと言う事もまた事実ではあったが・・・。

そしてそれらを踏まえ、再度C.O.P.について考えてみると、もちろん彼らもUKハードコアに端を発し、バッド・ブレインズ等USハードコアの影響もモロに受けてはいるものの、アルバムに収録されている楽曲を作曲者ごとに見比べて行くと、そこにはまるでそれぞれのメンバーの異なる嗜好やその後の方向性が楽曲を通して垣間見えるかの様であり、そう言った各々の人間性に基づく音楽的な発展形態の選択肢の多さと、それらをブレンドする事によって更に広がる可能性の振幅の大きさこそが、彼らの、単にハードコア・パンクと言う借り物の音楽スタイルを踏襲し再生産するだけのバンドに比べ大いに異なる点なのである。

また、それら個々の嗜好や方向性の差異を補って余りあるメンバー間の結束力の高さによって、彼らはバンド自体をまるで一つの生き物の様に成り立たせており、そう言う意味においても、もしも彼らがこの先も活動を続けていたらどの様なバンドに進化していったのだろうかと言う点は非常に興味深い事柄なのであるが、(色々な裏事情があったとは言え)短命に終わってしまったがゆえに、その点は想像するしか手立てがないのが惜しまれてならない。

ちなみに、C.O.P.の様なバンドを他に挙げてくれと言われれば、私はLIP CREAMではなく、むしろ故チェルシー氏のバンドであるPAINT BOXを挙げるだろう。何の迷いもなく・・・。

最後に。次回(←性懲りもなく続く?)はアルバムを作曲者ごとに追って解説する予定なので、今回は今まで語りそびれていたKEVIN氏に関しての想い出等を記述して終わるとしよう。

当時としては画期的な外国人ヴォーカルであったKEVIN氏。彼の最大の魅力は、やはりその流暢な英語の発音にあった・・・と言うのは半分冗談だが・・・何をおいても素晴らしい彼の特色とは、当時高校生だったと言う事もあるだろうが、やはりそのストレートかつ全身全霊を込めた歌唱にあると私は考える。支配者や権力者による抑圧や偽善に対する抵抗や怒りがパンク・ロックにとって最も重要なアティテュードであると言う点に関して何の異論もないと言うのであれば、彼こそはまさしく正真正銘のリアル・パンク・ロック・シンガーであると言えよう。当時、客席からステージが良く見える目黒鹿鳴館でのライヴにおいて顔を真っ赤にして熱唱していたKEVIN氏の姿は、今でも私の脳裏に刻み込まれており、そしてそれはまた、20年以上の時を経た再結成ライヴにおいても同様であった。

(つづく)

CONSUMER
(画像はC.O.P.参加のコンピ・テープ。)

「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」③

長らくお待たせイタシマシタ!!

今回は、C.O.Pが持つ特筆すべき二つの最重要な特色について述べたいと思うのだが、これは最初に結論から言ってしまおう。

まず一つ目としては、ベースとなるハードコア・パンクのソリッド(硬質)なサウンドにフリーキーかつサイケデリックな音色のギターが違和感なく絶妙に組み合わされていると言う点。そしてもう一つは、イントロや間奏等(~曲によっては後半部分にも)において転調やテンポ・チェンジがまるで当然の如く頻繁に行われる事のみならず、時には全く別の曲が挿入されているのかと思える程の劇的かつアグレッシヴな展開を見せる楽曲の意外性に満ちた構成及びそのアイデアやヴァリエーションの豊富さ・・・であろうか。そして、両者は間違いなく相関関係にあり、山上氏の自由奔放な感性がもたらすそのギター・プレイがあってこそ、あの変幻自在かつ七変化的なアレンジが可能となった事は想像に難くない。

思えば、山上氏加入後のGASのライヴにおいて、あのサイケデリックなギター・プレイは充分に異色ではあったが、「霊界」に収録されている曲等、新たに書き下ろされた楽曲自体がナルミ嬢の書く歌詞の世界に合わせたものとなっていたため、それほど革新的な意味合いは持ち得なかった。しかし、C.O.Pが演奏する激しくスピーディーな楽曲上にあっても、その間奏や歌の合間合間にまさしく宙空を切り裂くかの様に繰り出される鋭くシャープなギター・ソロは実に爽快にマッチし、更には随所で聴かれる浮遊感溢れるサイケデリックでしなやかなギターの音色との絡み合い等、持ち札が多くフット・ワークの軽いそのギター・プレイの数々が、それまではモノクロ(白黒)なイメージでしかなかったハードコア・パンクに、そのハードなサウンドやスピリットは失わずしてカラフルかつ多面的な魅力をプラス・アルファする事をも可能としたのである。

(もっとも、C.O.Pがアルバム全体はもちろん同一楽曲の内にさえ、あの様に多種多彩な音楽性を混在させる事が出来た理由には、当然の事ながら山上氏以外のメンバーの功績も大なのであるが、その辺りの考察はまた次回にでも・・・。)

ところが、その先進性ゆえに、当時主流であったUKタイプのストイックなハードコア・パンク・サウンド及び、その信奉者からすれば、C.O.Pの持つ音楽的な雑食性は邪道と呼ばれても仕方のないものでもあった。しかしながら、当初は余分な贅肉を極限まで削ぎ落としサウンドの攻撃性のみを過剰なまでに先鋭化させていったハードコア・パンクが、その激しさを更に追求していった結果、脱ポップ・ミュージック(大衆音楽)を極めたノイズ・コア化、へヴィ・メタルの特色である派手なサウンド作りや様式美を取り入れ融合したメタル・コア化、あるいは楽曲のスピードを更に追い求めた挙句にスラッシュ化する等、それぞれが様々な変容や進化を遂げる中にあって、それではC.O.Pは如何なる道を選択したのか?・・・と言う点こそが、本来語られるべき重要なポイントなのである。

まずは、C.O.Pを語る際に必ず引き合いに出されるUSタイプのハードコアうんぬん、すなわちロックン・ロール的な弾むビートを取り入れたノリの良いサウンド・スタイルであるが、これに関しては、ほぼ同時期にリップクリームも活動開始しており、またそれ以前にバッド・ブレインズ等、USハードコアのオリジネーターバンドが存在したからこそのネーミングな訳であるからして、それはいくつかある要素の一つに過ぎないと私は考える。

よって、C.O.Pの進化の軌跡が持つ真の意味合い、そしてハードコア・パンクの歴史に残したその重大な意義とは・・・。

(つづく)

<告知>
もう間近ではありマスが、C.O.Pのライヴが1月24日(土)@大塚MEETS(http://meets.rinky.info/)にて行われマス。今回、私は行けるかどうか微妙なのデスが、皆様お誘いあわせの上、是非どうぞ!!(^^)/
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「C.O.P.復活ライヴ~CD発売記念ライヴ告知」

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C.O.Pの復活ライヴは12月6日(土)新宿WALLにて!!運悪く、うちのライヴと被ってしまっておりマスが、それが終わり次第、私も駆けつける予定デス!!

現在(年内)超多忙にて、C.O.Pのアルバム・レビュー等の続きを書くのはライヴの後・・・あるいは来年になるかも・・・。

「広島パンク~ハードコアの歴史」(番外編)~「C.O.P(CORRUPTION OF PEACE)」②

さて、それでは、C.O.Pの唯一のアルバム「CONFUSION」を聴きながら、彼らの音楽性について解説してみよう。
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まず初めに、本作には基本となる二つの特色と、更に特筆すべき二つの最重要な特色があるのだが、まずは前者から・・・。

このアルバムは、作詞担当のKEVIN氏以外の全員が作曲に参加している事から楽曲のヴァリエーションが豊富で、明らかにハードコア・パンクと呼べる作品の他に、後藤氏がアルバム用に書き下ろし歌唱も本人が担当した「HOT TIME」の様なファンキーな曲や、ライヴでも披露されていた村田氏作「GIMME SOME MORE」の様なロックン・ロール的なノリの良い曲、更には、やはりアルバム用に書き下ろしたと思われるラスト2曲のうちの特に「RIGOR MORTIS」の様な、山上氏の強力な持ち味(←詳しくは後にも記すが・・・)の一つでもある浮遊感溢れるサイケデリックなギターを最大限に生かしたユニークかつ実験的な曲等、それらが効果的に挿入されている事によって、本作は一本調子になりがちなハードコア・パンクのアルバムであるにも関わらず、飽きる事なく最後まで聴き終える事が出来るのだ。

また、そう言った意味においては、C.O.Pは純然たるハードコア・パンク・バンドではなく、広い意味でのパンク・・・否、ロック・バンドと呼ぶべきなのかも知れない。しかし、どこかのロック・バンドがちょいとハードコア・パンク風な曲を演ってみたと言う訳では決してなく、あくまでもハードコア・パンクを基本としつつ幅広い音楽性を柔軟に、しかも極めて自然に取り入れているという点、そしてその基本となるハードコア・パンク的な楽曲が非常にカッコ良いと言うか、ハードコア・パンクの美意識にそぐわぬ内容であるため、これらはやはり、ハードコア・パンクの理想的な進化形態の一つと呼ぶべきであろう。

それでは、そのハードコア・パンク的楽曲に関してであるが、基本的には短いフレーズを組み合わせた複雑なリフを猛スピードで反復するスタイルのものが主で、激しく畳み掛けるようなハードな演奏とも相まって、これが非常にカッコ良過ぎる訳なのであるが、その主たる理由としては、彼らの、骨格のしっかりした楽曲を作る作曲能力と、輪郭のハッキリとしたサウンドを明確に提示し得る演奏の力量にあると言えよう。

そして、上記のスタイルを基本とするならば、本作には当時としては珍しかった日本におけるUSスタイルによるハードコア・パンクの元祖と呼ぶに相応しい楽曲がいくつも収録されているのだが、その前に、UKハードコアとUSハードコアの違いを簡単に説明するならば・・・。

ただし、これはあくまでも私の個人的印象であるが、UKが陰ならUSは陽、UKが暗ならUSは明、UKが硬ならUSは柔・・・と、国も違えば発生した状況や動機も大幅に異なるとは言え、それらは明らかに相反する性質を持っており、最大の特徴としては、楽曲や演奏において派手なリズムや装飾的なメロディを極限まで削ぎ落とし、音楽と言うよりは音としての攻撃性を極端に突き詰めたストイックなUKハードコアに比べ、USハードコアはもっと自由で開放されたイメージがあり、音楽性の面から見ても、UKハードコアでは意識的に排除されたロックン・ロールの基本である弾むようなビート等が、USハードコアでは極自然に用いられていると言う点が大きな相違点であろうか。よって、これらを踏まえて考えると・・・。

C.O.Pが日本におけるUSスタイルによるハードコア・パンクの元祖と呼ばれる所以は、メンバー・・・それもヴォーカリストが米国人であるとか、カラフルでカジュアルなファッション・センス等の要因もあるが、やはりノリの良いロックン・ロール調の弾むビートを初めとした多様なリズム・パターンが用いられている点や、構造的にAメロと比較してサビの部分の音程が著しく上がる事によってスカッとした開放感を得られるタイプの楽曲がいくつか収録されている事、そして本文冒頭でも述べたが、ハードコア・パンクに拘らず多種多彩な音楽性が自然にブレンドされている点が、その理由として挙げられるだろう。

次回は、各メンバーそれぞれの持ち味に迫りつつ、更に特筆すべき二つの最重要な特色について解説しよう・・・。

(つづく)
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