★みんなのアイドル、セミ・ホームレス中年の“ジョニー氏”が、また来店イタシマシタ!!
ジョニー氏、私が24時間不規則に仕事してる事を知っており、昼間寝てる時に公衆電話から十円玉一枚分で電話かけてきたり、夜中だろうが突然来店する訳なのでありマスが・・・。
その日、私はたまたま自宅に帰っており、仕事するため夜に店に向かうと、ジョニー氏が階段に座って私が戻るのを待っておりマシタ。
ジョニー「今日は見てもらいたいものがあるんデスよ。」
私「え~!!また何か売りに来たんデスか。どうせロクなもの無いんでしょ?」
ジョニー「これなんデスよ。」
見ると、お菓子か紅茶のティーバックが入っていた様な長方形の缶ケースに、古銭がいっぱい詰まってるではないか。

(携帯で撮影のため画像が暗くて申し訳無い・・・。)
ざっと千枚くらいあるだろうか?しかし、殆どが一銭ばかりで、他に十銭や五十銭等もあるが、何枚かチェックした所、昭和中期のものが多く、古銭の知識の無い私から見ても、それほど珍しいものは無さそうだ。
こりゃ、調べるのめんどくせ~な~・・・。そう思いつつ、私はこう言った。
私「ジョニーさん、査定して買い取ってあげても良いけど、ちょっと言ってもらいたいセリフがあんデスよね~。」
ジョニー「えっ!?何デスか?」
私「銭(ぜに)ズラよ!!・・・って言ってみて下サイよ!!」
ジョニー「銭ズラよ!!・・・デスか?」
私「そうそう!!もっぺんちゃんと言わなきゃ査定しマセンよ!!」
ジョニー「(若干恥ずかしそうに・・・)銭ズラよ!!」
私「うわ~!!それそれ!!それが聞きたかったんスわ~!!」
そして更に・・・。
私「あのね、ジョニーさん。こんなのまとめて持ってきても、一山いくらで買取されて終わりデスよ。真面目にお金を稼ごうと思うんだったら、少しは古銭の価値を調べてくるか、せめて種類毎に分類して持って来なくちゃ。」
そう言って私は、ジョニー氏にコインの分類作業をさせたのであった。

その間、私は店内でパソコンを立ち上げ、そろそろ終ったかな?と頃合を見計らって店の外に出たが、全然仕事がはかどってない。そこでやむを得ず、私も手伝うハメに・・・。
私「ホントにジョニーさんは要領が悪いと言うか、怠け者と言うか・・・。そんな楽して金儲けしようとしたって、この不景気なご時世、そうそう上手く行くと思ったら大間違いデスよ!!」
・・・と、説教しつつも、手分けして何とか大まかな分類が終了。
私「ホラ!!こうすれば、どれが珍しくてどれがありふれてるかって事が一目瞭然で解るでしょ?ほんぢゃあこの珍しい数枚だけ、ちょっとネットで価値を調べてあげるからちょっと待って下サイね。」

そしてジョニー氏を外に待たせ、店内に5~6枚の古銭を持ち込みネットで検索・・・の前に、最近仕事の合間に凝ってる「平安京エイリアン」をワン・ゲーム・・・と。

いやなに・・・仕事前に士気を高めるためにはどうしても必要な儀式なもんで・・・。
その後、ネット・オークション等で古銭を検索するも、やはり大して高価なものはなさそうだ。それに実際、こんなのいちいち出品して売るのもメンドクサイし・・・。でもまあ、せっかく持ってきてくれたんだから、まとめて五百円くらいで買い取ってあげるか・・・。
私「ジョニーさん。あんま珍しいものなかったからアレだけど、メシが喰えるくらいのお金欲しいでしょ?」
ジョニー「そう・・・デスね~。」
私「ぢゃあ百円・・・って、“ひゃくえん”ぢゃあ“ひゃ・・・くえん(喰えん)”からマズイっすよね。」
ジョニー「そうデスね・・・。」
私「ぢゃあ二百円・・・って、“にひゃくえん”でも“にひゃ・・・くえん(喰えん)”から・・三百円・・・あれ?これも“さんびゃ・・・くえん”から・・・。」
などと、誰も見てないにも関わらず下らないコント(?)をしばし繰り返した後・・・。
私「ぢゃあ457円。これなら“くえん”って事ないから大丈夫っしょ。」
ジョニー「そうデスね~。これなら喰えマス。」
私「そしたら今度は、も少しマシなもの持ってきて下サイね!!」
・・・とまあ、ジョニー氏と私とのやり取りは、いつもこんな調子なのでありマシタ。(^^:)
(つづく)
A氏、何だか一部で人気があるので、もっと親しみやすくするためにジョニー氏(仮名)と呼ぶ事にイタシマシタ。ちなみに命名の根拠は、彼の顔がジョニー大倉とおすぎとピーコのおすぎを足して二で割った様な風貌だからでありマス。
さて、何故にジョニー氏が余裕ぶっこいてセミ・ホームレス生活なんぞやってられるかと言えば、その秘密はおいおい明かしていくつもりなのであるが、ある時、彼はこう言い放った。
ジョニー「東京で飢え死にする人は居マセンよ。」
「言うよね~!!」・・・と私。
そこで今回は特別に、私が徹底取材した彼の生活(主に食)スケジュールを、皆様にもお教えしようと思う。
日曜日。午前:教会。夕方:新宿中央公園。
月曜日。夕方:新宿中央公園。
火曜日。午前:代々木公園。
水曜日。朝:教会。夕方:教会。
木曜日。昼:代々木公園。
金曜日。夕方:池袋某所。
土曜日。夕方:渋谷某所。
上記、教会以外はすべて炊き出し系の食事配布行事。なお教会には、行けば食事にありつける所と、一時間程ありがたいお話を聞いたりそれをみんなで復唱した後にやっと飯にありつける所とがあるらしい。
また、小銭がある時は深夜のネット喫茶でシャワーを浴びるジョニー氏だが、とある教会では一日数十人限定でシャワーを貸し出してもいるそうで、二日連続の使用は不可だが、そこもたまに利用しているそうだ。
いやしかし、これなら確かに飢え死にするって事はないよな~。
でもジョニー氏、こうも付け加えた。
ジョニー「これぢゃ足りないよね。」
・・・と。
そこでジョニー氏、“拾い”をやって小銭稼ぎをする事により、その不足分を補う訳だが、それですべて良しと言う訳ではなく、一番問題となってくるのは、やはり寝泊りする住居であろう。
特に、寒い冬は・・・。
ジョニー氏、夜は一体どこで寝てるのか?
そんな素朴な疑問を初めとしたジョニー伝説の数々、そしてまた、物欲を満たす事のみを求めて生きた亡者の如きレコード・コレクターとしての日々と、その後の波乱万丈な転落地獄の人生絵巻の一部始終・・・。
いつかまた、その全貌を語る日も来るであろう・・・。
(第一部・完)
★書かねばならない音楽ネタが溜まっているため、当連載は一旦休止させて頂きマス。m(_)m
「ホームレス中学生」に便乗して「セミ・ホームレス中年」って本でも書こうかな。・・・って、そんなの売れね~か。