冬の気配が近づく10月。ボクが引きこもりを始めてから、既に二ヶ月近くの時が経過していた。
ママも、最初のうちこそうるさかったけど、今では黙って食事を運んでくれている。何故なら、ある日、こんな出来事があったからだ・・・。
あれは、ボクが引きこもりを始めて、1ヶ月くらい経った日曜日の事だったろうか?その日、どらへもんは定期的なメンテナンスとかで、未来塾に帰っているらしく、ドアの外から日課の様に聞かされる説教が無い代わり、すっかりあきらめモードだったはずのパパが、激しくドアをノックし、こう言った。
パパ「のひ太!!今日という今日は、パパも堪忍袋の尾が切れた。今すぐ部屋から出てきなさい!!」
日曜日で会社が休みと言う事もあり、今日こそ決着をつけようと、いつもはあんなに優しいパパが、僕に対して、本気で怒りをぶつけて来たのだ。
正直、ボクは嬉しかった。パパもママも、ボクの事を愛してくれていると言う事は、頭では解っていたけど、何だか、本当に僕のこころに触れてくないと言うか、どこかよそよそしく、今回の引きこもりの最中も、ボクは本当はこの家の子ぢゃ無いんだと、ありもしない不安に押しつぶされそうになった夜は数え切れない程だったから。
でも、ボクの不安材料は、あのドラへもんの事だった。あいつが居る限り、ボクの、我が家の平和は有り得ないよ。
のひ太「パパ?部屋から出ても良いけど、ひとつだけ条件があるんだ。」
パパ「何だね?パパに何でも言ってみなさい。」
のひ太「ホント!?ぢゃあ言うね。もう我儘言わないから、あのドラへもんをうちから追い出してよ。そしたらボク、もっと真面目に勉強するし、パパやママの言う事も聞く良い子になるよ。」
パパ「ホントか、のひ太。ぢゃあ、約束だぞ。メンテナンス中で留守のドラへもん君には、今日限りお役ごめんと言う事で、もう来ないで良いと、未来塾の世話氏にも、そう伝えておくよ。」
のひ太「ホント!!嬉しい!!パパ大好・・・。」
嬉しさと感動のあまり、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、ボクはドアの鍵を開けた。
すると、そこには・・・。
(つづく)
★傷心に暮れるのひ太を、ドアの外で待っていたのは、一体?そこは、のひ太にとって、地獄なのか?それとも天国への入り口だったのであろうか?
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