実はこの日、東京での再結成ライヴに於いて、狂平氏は不参加の予定だったらしいのだが、ライヴの数日前に、急遽、出演が決定したらしい。今回の再結成の目玉は、何と言っても、この時期の再現なので、これは嬉しいと言うより、一安心と言った所であろうか・・・。また、上京後はギターをベースに持ち替えて久しい後藤氏も、今回のために、永らく触ってなかったギターを猛練習したと聞く。
ちなみに、当時、私が見たGASのライヴでは、オープニングで狂平氏が「戦争にFUCK OFF!!」と連呼して、「反戦」~「反日本」・・・と、1stソノシートに収録されている曲を連発した事はあったが、ライヴ中のMCはほとんど無かったと記憶している。しかし、今回のライヴでは、現役を長く遠ざかっていたにも関わらず、狂平氏の客あしらいと言うか、観客を煽るMCは実に達者で、これには少々驚かされた。ナルミ嬢に刺激されたか、あるいは、自我に加入してからは、その様なライヴも行っていたのだろうか。そして、ドラムの村田氏もまた、リーダーである畑中氏をおちょくりつつも、客席に何度もダイブをかますなどして、ライヴの盛り上げ役に徹していた。
ところで、この日、「奇形」を演奏しなかった様な気がするが、何か意味があるのだろうか・・・。
ああ、だけど、狂平氏参加の初期GASの演奏には、やはり感極まるものがあった。それは、“懐かしい”などと言った感傷的なものでは無く、なんと言うのだろう・・・。おそらくは、(広島時代の)GASが、インディーズ・ブームもバンド・ブームも無かった不毛な時代の、しかも単なる一地方都市・広島に於いて、その積極的かつ自主的な行動によって、世の中に対して真剣なメッセージを放っていたにも関わらず、現実には、それらはハッキリとした形で実る事は無く、唯一の記録であるソノシートさえも、その希少性から、今回CD化されるまで、多くの人に聴かれると言う事も無く、時代の彼方に埋もれてしまっていた訳で、しかし、今この時、やっとその価値が認められた、否、むしろ熱烈な歓迎をもって受け入れられ、あの日あの時の、彼らの熱意なり衝動と言うものが、今ようやく報われたのだと思うと、私は何だか、胸に込み上げるものを、抑える事が出来なかったのである。
しかし、当時はどうであったかと言えば、私はGASに対して、必ずしも良い印象を抱いていた訳では無かった・・・。
(つづく)
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