・・・ボクは、この学校に転入した当日、落とした消しゴムを拾ってくれたと言う、ただそれだけの理由で、シズコちゃんを初恋の相手に決定した。
何と言う事だろう。爽木の何気ない一言に踊らされ、こんなにも焦って、好きな異性を探すとは・・・。
いや、違う!!
そう、違うって言ったら違うんだ!!
そんなんぢゃない!!
絶対にちが・・・
わない・・・。
・・・そうさ。ボクには解っていた。
本当は誰でも良かったんだ。
夢中になれる事が何もなく、パパとはこころが通ぢ会わず、そしてママとも・・・。
畜生!!ボクだって、まだ小学生4年生なんだ。まだまだ、ママに甘えたい年頃だって言うのに・・・。
ボクは、ママへの断ち切れぬ思慕の情を、同級生への恋慕にすり替える事によって、自分の乾いたこころを潤そうとしていただけなのさ。
爽木の言葉は、そのきっかけをもたらしたに過ぎない・・・。
そして、この偽りの恋慕、歪んだ初恋が、ボクを更なる地獄へ突き堕とす事になろうとは。
ウフフ・・・。ウフフフフフフ・・・。
生きるって、なんて楽しいんだろう・・・。
(つづく)
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