何せ学校では出来るだけ静かに大人しく目立たぬ様にして、自分の存在や気配を消す事に必死だからな~。その過剰なまでの自己抑圧行為に対する反動のエネルギーは半端ぢゃないよ。
・・・とは言え、初めの頃は言葉責めで済んでいたっけ。
当初、ボクはドレミの家事仕事の出来不出来に難癖をつけ、「この駄目ロボットめ!!」だとか「ポンコツ寸前の痴呆ロボット!!」などと悪態をついたり罵っていたけど、だんだんその程度ぢゃあ済まなくなって、そのうち頭を小突いたり足をひっかけて転ばせたりと、その酷い仕打ちをエスカレートさせて行ったんだ。
ある日は、昨晩食べたカレーに入ってた人参の大きさにケチをつけ、食器棚に突き飛ばした事も・・・。
その時は流石にまずいと思ったから、「パパには絶対言うなよ!!」と、固く口止めしたけどさ。
でも、このままぢゃあ、ドレミのババアが黙ってても、奴のボディの外傷からボクの悪行が発覚してしまう恐れがある。
どうしたものか・・・。
そうだ!!
ボクは押入れの中を捜索すると、あるモノを取り出した。
よっしゃ!!これは行ける!!
更に、もはや日課となってしまったドレミへの暴虐行為は、いつしかボクの口調をも芝居がかったものにしていた・・・。
のひ太「フフフ・・・。ドレミ君。またやってくれたようだねえ。」
ドレミ「ええ!?おぼっちゃま。また私が何か気に障る事をしでかしましたでしょうか?」
のひ太「君は何度注意しても、ボクの言いつけを守れないようだね~。そこで今回、ボクはこんなものを用意させてもらったよ。」
そう言ってボクが取り出したのは、何年か前の夏休みの自由研究で使用した昆虫採集セットに付属していた注射器だった。
ドレミ「ああ!!それは!!のひ太様!!」
のひ太「フフフ・・・。あまり君のボディを傷つけては、ボクの身の安全が危ないのでね。これからはお仕置きの度に、これを使わせてもらうよ。」
そう言うがボクはドレミの足をひっかけて倒し、床にうつ伏せになったドレミの背に馬乗りになった。
のひ太「ウフフ・・・。さあ、この注射器には何て事のない水道水が入ってる。だがしかし、だがしかしだよ。この液体を君のボディの隙間から体内に注入したら、さてどうなるのかな?」
ドレミ「ひえ~!!そんな事されたら、内部のメカが錆付いておかしくなってしまいマス~!!」
のひ太「アハハハハ!!ご名答だよ明智君!!まさしくそれがボクの狙いさ!!しかも、この方法なら証拠も残りにくいときておる。」
ドレミ「ああ・・・。のひ太様。そんなご無体な事、おやめになって~!!」
のひ太「イヒヒ!!やめマセ~ン!!さあて、どこにこの針をブッ刺すかな~。」
ドレミ「ひい~!!そこは・・・駄目・・・。」
のひ太「ムフフ・・・。ほれほれ、一滴残らず注ぎ込んでやるからな。たっぷり味わうが良いぞえ!!」
ドレミ「ああ・・・どうしてこんな事・・・。」
・・・と、そんな具合にボクは、不自然な学校生活で溜まった鬱憤をドレミへの虐待で発散する事によって、ある種、自分の存在意義を確認し、かろうぢて自分の尊厳を取り戻すと言った愚かしい行為を繰り返していたのであった。
フン!!どうせあいつは人間に服従するために作られたネコ型ロボットに過ぎないんだ。そこいらの野良猫の目玉を潰したり足を切断する訳ぢゃなし。だから、ボクがやってる事なんて全然問題無いはずさ!!
ドレミの奴、見てろよ~!!今にそのうち・・・。
ブッ壊してやるぜ!!
(つづく)
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