土地の私有化と貨幣制度。それこそが諸悪の根源である。
その時代なり地域において権力を握る支配者(王)は、それらを発案・施行する事によって、その既得権益を永きに渡り自らの血縁者に継承して行く事を可能にしたのだ。
本来であれば、(少々例えは悪いが・・・)頭の悪い息子やケンカの弱い息子しか持つ事の出来なかった王の家系は、もっと強い他国あるいは能力の勝る自国の人間に王位を奪われ、滅びて行く事が当たり前だったはずなのである。
しかるに王は、そのありあまる程の固定資産あるいは固形資産を用い、頭の切れる参謀を抱えるなり屈強な兵士を従える事によって、その権力と地位を簡単に揺らぐ事のない磐石なものにする事が出来るようになった。
ゆえに、その王位を奪取するためには、王族の軍隊の何倍もの力を結集するか、あるいはこちらも、それを為すために必要な固定資産なり固形資産を蓄えねばならないと言う事になるのである。
しかも、その過程においてもなお、利益の一部をピンハネされ続けながら・・・。
そして、これをそのまま個人レベルに移行して考えてみれば、現在の世の中が如何に不公正にして不公平なものであるかが良くお解り頂けるものと思う。
要するに、私達の運命は生まれた家系によってほぼ決定されており、自らの力のみで現世における地位の向上を成し遂げようとするのであれば、常人以上の能力を身に付けるために何倍もの努力をしなければならないのである。
・・・否。もちろん、その努力と言うものは涙ぐましい程に素晴らしく、それ自体の価値は決して誰にも貶める事など出来ない尊いものであろう。
しかしながら、その様な、人それぞれが持ち得る固有の能力がダイレクトに生かされず、一人の人間が成した努力が決して報われる事のない世の中と言うものが、私には耐えがたく許しがたい事なのだ。
そう・・・。これはあくまでも、私個人がそう思うだけの話。
よって、貴方が私にこの考えに共感を抱かなくとも結構だし、だからと言って私がこの考えを翻す事も金輪際あり得ない。
私が望むのは、独りの人間、その一人一人の汗や涙が報われ、その情熱や努力がダイレクトに生かされる世の中が到来する事以外の何物でもないのだ。
だがしかし、私は知っている。そんな世の中など絶対に有り得ない・・・と言う事も。
何故なら、支配者や権力者がその既得権益を手放す事など、未来永劫有り得るはずなどないからである。
また、それらは元を辿れば自らのエゴから発生しておりはするが、そもそも己が血縁者なり親族なり子孫への愛情であり、生き物の本能に基づいてもいる事柄なのだからして・・・。
人は誰しも自分がかわいいもの・・・。
ただ、だからと言って、この被支配被搾取階級としての運命を甘んじて受け入れるつもりもないし、ましてや無力な先祖を恨むつもりもない。
しかるに、今後も無駄な抵抗と言うか、何の得にもならない無益な愚痴を繰り返しつぶやき続けて死んで行く事だろう。
自分はそれまでさんざん人を殺して土地や財産を奪ってきたくせに、その既得権益がもっと強大な力によって奪われる事を恐れ、それを防ぐために、ある日を境にそんな野蛮な事はやめましょうと手のひらを返す。
それではまるで、それまでは核の脅威をひけらかしてで威張り散らしてたくせに、テロがあちこちで盛んになるや、今度は急に核を廃絶しようなどと言い出すどこかの偉そうな国みたいではないか。
それならまずは、殺戮によって築いたその血塗られた城や蓄財を明け渡してからにしろ!!・・・と、私は言いたい。
土地や貨幣と言う固形資産がある限り、個々の人間が持つ能力が真に生かされる事はない。
生まれた時から家系と言う名のハンデを背負わされ、さもそれが克服すべき当然の事であるかの様に押し付けられ・・・。
その苦しみや葛藤から発せられる嗚咽や断末魔の叫びは、文学や音楽等が生み出される発生源の一つでもあるとは言え・・・。
それを換金するためには、そこでまた資金を投資する必要があり、ここでもまた利益を搾取されると来ている。
こんな人生、卵を生むためだけに飼われている鶏と、一体どこがどう違うと言うのか?
これは何かの罰なのか?自分の先祖がしでかした大罪か何かの・・・。
家畜階級に生まれて・・・。
今日も、家賃を支払うために徹夜で働く俺がここに居る。
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