やっぱ駄目だ!!
いくらボクが、どこかの誰かの欠点を粗探しして見下したり馬鹿にしようとも、ボク自身に何か誇れるものがある訳ぢゃなし・・・。
それに、インターネットで広い世界を知れば知る程、今のボクより苦しい境遇に置かれている人達の存在を見てしまう・・・。
どこかの誰かを罵り嘲る事で、ほんの一瞬、ボクは誰にも負けない気分に浸れるけれど・・・。
結局ボクは・・・ボクは誰にも勝てない!!
ボクは弱い・・・。
あまりにも!!
ボクは、ただただ他人との比較によって自分の優位な立場を確保しているだけで、ボク自身が何かを身に付けた訳でも成長した訳でも何でもないんだ!!
体力も・・・。
学力も・・・。
人間としての魅力も・・・。
そして、どんなささいな能力すらも・・・。
何もない・・・。
ボクには何も・・・。
誇れる過去も・・・。
威張れる功績も・・・。
明るい未来も・・・。
何もない!!
こんなボクに、生きてる価値なんかない!!
こんなボクが・・・。
この先、生きて行く事に何の意味があるんだろうか・・・。
そして翌日、暗い気持ちを一身にまとい、ボクは学校へ登校した。
そこには、昨日と何も変わらない教室と、いつも通りのクラスメート達・・・。
まるで昨日の事なんか忘れたかの様に・・・。
フッ・・・ウフフフフ・・・。
そうさ、しょせん傷ついたのはボクだけ、自信を失ったのはボクだけ、奈落の底へとまっ逆さまに突き堕とされたのはボクだけ・・・なんだ。
そんなボクなんか置いてけぼりにして、この世界は回ってるんだ。
誰からも理解される事などなく・・・。
誰からも慰められる事などなく・・・。
誰からも愛される事などなく・・・。
独り・・・。
ボクはいつでも独りぼっち。
しかも・・・。
その日から遂に、あのナチコ先生による教育の名を借りた鉄の・・・否、鬼の支配が始まったんだ。
例の席替えで教壇の真ん前の席に座らされたボクは、事ある毎にナチコ先生に名指しされ、恥をかかされ、クラスメートの冷たい視線を背中に浴び、羞恥と疎外感との地獄に身を焼かれる思いを味合わされた・・・。
更に極めつけは・・・そう、ある日の給食の時間の終わり、ボクがいつもの様に食器を片付ける振りをして嫌いなオカズをこっそり鍋に捨て様とした時に起きた。
ナチコ先生「コラ!!のひ太君!!あなた駄目ぢゃない!!せっかく給食のオバさんが作ってくれたオカズを残すなんて!!」
ボクはこころの中でこうつぶやいた。
・・・チェ!!誰も好き好んで嫌いなオカズを作ってもらった訳ぢゃないよ!!
だけど、ナチコ先生は「全部食べるまで食器を片付けちゃ駄目よ!!」と言いやがる。
だからボクは、食器を乗せたトレーを机の上に置いたまま、給食後の掃除の時間、昼休み、そして午後の授業を受けるはめになったんだ。
解るかい?掃除当番が机と椅子を教室の後ろに移動させ、ほうきで床を掃く間も、そして埃が舞うそんな状況の中でさえ、ボクは机の前に座り続けていなくちゃいけないんだ。
そして、白い目で見こそすれ、クラスの奴らも連帯責任を逃れたいばかりにナチコ先生の言いなりになって、誰もボクを助けてくれようとはしない・・・。
そんなこんなで午後の授業も終わり、放課後になって、教室の中はナチコ先生とボクの二人きりとなった。
ナチコ先生「あなたも本当に強情な子ね~。いくら嫌いでも我慢して食べる様にしないと、大人になってから困るわよ。」
のひ太(こころの声)「フン!!大人になったら、自分で好きなものだけ買って食べれば良いんだから、別に困りゃしないよ!!」
ナチコ先生「ふ~む。別に困らないって言いたげな顔してるわね。良いわ、それぢゃ、そのままずっとそうしてなさい!!」
そう言うと、ナチコ先生は教室を後にした。
(つづく)
★作者注:これは啓蒙小説デスYO!!(^^)b
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