「三人兄弟の真ん中は孤独である」とは、良く言われる話であるが、私もまさしく、姉と弟に挟まれた、三人兄弟の真ん中であった。
姉は女の子である事から、当然可愛がられ、弟は最も幼い訳であるからして、これまた当然の如く可愛がられる。
しかるに、私はと言えば・・・。
確かに、食べ物の好き嫌いも異常に多く、不平不満ばかりこぼすヒネクレ者だった事は否めない。しかし、何と言ってもマイナス要因だったと思われるのは、一家の長男であるにも関わらず、厳しい父の期待に応えられぬ、私のひ弱な体力と精神力にあったであろう事は想像に難くない。
何せ、そんな父から怒られるのは、いつも私だけ・・・。姉と二人でふざけてて怒られた時も、姉だけは何のお咎めも無し。
しかも・・・。これは本当は書きたくないのだが・・・。事実、私自身も、数年前に思い出すまで、無意識のうちに記憶の奥底に封印していた出来事なのであるからして・・・。
・・・あれは、小学生の時か、あるいは中学に入りたての頃だったであろうか・・・。
私が父から怒られて落ち込んでる、その目の前で、寝転がったまま弟を両手で持ち上げたりしながら、「今度はどこへ行こうか・・・」などと、仲良くスキンシップをする二人(父と弟)の姿。
・・・とは言え確かに、私も幼い頃、父のおふざけで顎ヒゲの剃り跡をスリスリされた覚えもあるにはある。・・・ただ、それが物凄く不快で、本気でいやがった記憶も・・・。
父にしてみれば、その一件にショックを受けたのかも知れない・・・と思えなくもない。もちろん、それだけでは無いのだろうが・・・。
それにしても・・・である。
だって仕方無いよ。こっちは生命力が弱いがゆえに、色んな事に対して敏感過ぎるんだから。
そして、中学1~2年生の頃、「ボクはうちの子ぢゃないんだ」「ボクは橋の下で拾われたんだ」・・・と、独り涙に暮れる日々を過ごす事に・・・。
しかも、特に感受性の強い時期だけに、これは本当につらかった。
思春期には良くある事・・・と言ってしまえばそれまでだが・・・。
家族が居れば、人がたくさん居れば、孤独ではない・・・と言う訳では決してないのだ。
(つづく)
