Mr.エレクトの独り言 禁未来小説「ドラへもん」その68「児戯めいた妄想」の巻
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

禁未来小説「ドラへもん」その68「児戯めいた妄想」の巻

あんな悪夢を見て、ずいぶん汗をかいたせいだろうか、目を醒ました後のボクは、何か憑物が落ちたかの如く、晴れやかな気分で自分を顧みる事が出来る様になっていた。

・・・しかし夢ってのは、よくもまあ、ああも自分に都合の良いストーリーばかり展開出来るもんだよね~。だいたい、シズコちゃんちは母子家庭でも何でもないし、あんなに簡単にドアを開けてくれるはずないっちゅうの・・・。

それに、よくよく考えてみたら、ボクも悪かったんだよな~。突然、あんな通り魔みたいな告白されたら、誰だって引いちゃうよね。

今日、学校に行ったら、シズコちゃんに素直に謝ろう。

ボクには元から、楽しく明るく幸せな日々なんて向いてなかったんだよ・・・。

そう決心したボクのこころは、意外にも爽やかであった。

ボクはボクさ。自分らしく身の丈にあった人生を、無難にやり過ごせれば、それでもう良いよ・・・。

ぐっすん・・・。一瞬でも、シズコちゃんの事を恨んだり憎んだりした自分が恥ずかしいや。

「憎しみは何も生み出さない」・・・とも言うしさ。

ウフフ・・・。ボクって素直な良い子でしょ?

テヘヘ・・・。大失敗の巻~!!・・・みたいな?

だけどさ、例えば今日、学校でシズコちゃんに謝るとするよ・・・。そしたらさ~・・・。

のひ太「あ、あの~、シズコちゃん。昨日は変な事言ってゴメンネ。」

シズコ「えっ、のひ太サン、そんな事無いわ。私こそ、いきなりあんな事言われてビックリしちゃって、何だか、のひ太サンを傷つけちゃったかも?・・・って、後悔してたのよ。」

のひ太「とんでもないよ~!!シズコちゃんは全然悪くないよ!!みんなボクが悪いんだからさ~。」

シズコ「ウフフ・・・のひ太サンって、優しいのね。」

のひ太「や!!・・・やふぁひいだなんてぇ・・・。そ・・・そんな、ボク、照れちゃうよ~!!」

シズコ「優しいわよ~!!(はあと)」

のひ太「やだな~もう!!シズコちゃんったら!!」

シズコ「ウフフ・・・。」

のひ太「テヘヘ・・・。」

シズコ「あの~、もし、のひ太サンが良かったら、おともだちって事で、おつきあいしてくれないかしら?」

のひ太「ええ~!!マジ~!!超嬉しいよ~!!(涙)」

シズコ「もうっ!!のひ太サンったら、ホントに大袈裟なんだから~。(微笑)」

デヘヘ・・・。

デヘヘヘヘ・・・。

ボクは、よだれをたらしながら、児戯めいた妄想に溺れ浸っていた。

ウフフ・・・。「災い転ぢて福となす」って、この事かしら?

だが、この時、ボクはまだ知る由もなかった。

今はただ、地獄の入り口に足を踏み入れただけに過ぎなかったんだって事を・・・。

そして、この先こそが、本当の地獄だったのだ・・・と言う事も。

(つづく)