Mr.エレクトの独り言 「ザ・スラッヂ復活ライヴ・レポート」(後編)

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

「ザ・スラッヂ復活ライヴ・レポート」(後編)

「ザ・スラッヂ復活ライヴ・レポート」(後編)

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スラッヂを敬愛してやまないヤマジ氏とモリモト氏の起用が正解であった、その理由は言うまでもない・・・。

何故なら、そもそも、片岡氏のギター・プレイとは、自分が目立ちたいためだけの独り善がり的なスタンド・プレイなどではなく、実は超細やかな気配りとおもてなしの精神に溢れたものであり、更にはバンドの進行方向を決定づける舵取りの役目を担ったものだったからである。そして、その心遣いを前提にしているからこそ、スラッヂの楽曲や演奏は気持ちの良いグルーヴを生み出し、リスナーを気分良くさせる振動を伝え得る事が出来るのだ。

またそれは、何も観客に対してだけではない。構造的に分析するならば、まずはヒビヤ氏とカタヤマ氏のリズム隊がバンドの推進力となる熱量を激しく高め、そこへ被さる片岡氏のギターは、時にやさしく時に穏やかに、またある時には弛緩した空気を切り裂くかの如く、まるで痒い所に手が届くかの様な絶妙のタイミングで鳴り響く。そしてその結果、ヴォーカリストのスガワラ氏のテンションも否応なく高揚させられ、そうして解放させられた自由な精神状態において初めて、稀代のパフォーマーにして即興詩人でもあるスガワラ氏の魅力であるエキセントリックな危うさやグラマラスな華やかさも、最大限に発揮する事が出来たのではなかろうか。

表面的には、あれほど派手な音色のギターを奏でていながらも、その根底には、楽曲の良さを最大限に生かし、観客をもてなし楽しませ、更にはフロント・マンの能力をも引き出す、そんな地味で裏方的な能力をも兼ね備えた素晴らしいミュージシャンであった片岡理氏。ことスラッヂに関して言うならば、その代わりなど、どこにも居るはずがないのではあるが、それでもあえて探すと言うのであれば、それは指を誰より早く動かせる事でもなければ、人より目立つプレイが出来る事でもない。スラッヂと言うバンドを理解し、愛してやまない人間・・・それ以外には考えられないのである。

さて、改めて当日のライヴの感想である。不謹慎かも知れないが、私はバンドの演奏以上に観客の雰囲気に感動させられた。20年来の復活を待ち焦がれた当時の熱狂的なファン、そしてCDによって初めてスラッヂに魅了された新たなファン・・・と、それぞれの年齢も思惑も様々ではあったろうが、そこには間違いなく、生きている人間の暖かさがあった。そしてまた、誰に命令された訳でもなければ、最新流行の情報とやらに左右された訳でもなく、ただただ自分が好きだと思える音楽、そしてバンドを実際にこの目で観たいと考える、そんな純粋な目的のみで集まった自立した人達なのだろうな・・・との印象を私は得た。

当日、急な葬儀(・・・と言うか、葬儀は急なものと相場が決まっているが・・・)を済ませてライヴに臨んだヴォーカルのスガワラ氏。そのせいか、あるいは片岡氏に対してケジメをつけなければとの責任感から来るプレッシャーゆえか、全盛期同様に完全に弾け切っていたとは思わないが、片岡氏不在のハンディを乗り越え、スラッヂ復活ライヴと言う重責ある大役を見事にやり遂せたのではないか、と私は思う。

だからこそ私も、眠い目をこすりつつも、超遅ればせながらのレポート・・・否、駄文をば、ここに掲載した次第なのである。

(おしまい)

★なお、今週末の4月12日に目黒鹿鳴館行われるライヴでは、メンバーのライン・ナップに変更がある模様。また、同会場にて、スラッヂ~ATSのヒストリーDVDが先行発売される予定となっておりマス。