その夜・・・。ボクは泣いた・・・。
ボクは誰からも、愛されてない・・・。ボクは誰からも、この世の中のすべての人から必要とされてない・・・。
ボクなんて、ボクなんて生まれて来なけりゃ良かったんだ・・・。
うう・・・。
どうしてボクだけが、こんなに惨めで淋しい気持ちを味合わなければならないの・・・。
だけど、その本当の理由を、ボク自身は良~く解ってた。
それはボクに、何の能力すらも、そして人を惹き付ける事が出来る何かしらの魅力さえも無いからなのさ・・・。
あの、一見何の取り得も無さそうに見えるトロヲだって、実は読書家で、体育はもちろん学校の勉強は殆ど零点に近いくせに、社会だけは本人が世界史を好きだって事もあり、いつも満点近い成績を取ってるって噂に聞いた事がある。
どんな奴にも、何かしら短所や欠点があるのと同様に、それ相応に人に誇れる能力なり魅力が備わってるんものなんだ。
それなのに、このボクと来たら・・・。
特技と言えば昼寝をする事か、人を逆恨みしたり妬む事ばかり・・・。何の取り得も無ければ、人に対する思いやりとかやさしさすら無い、ただの駄目人間・・・否、どうしようもない人間の屑に過ぎないんだ・・・。
ああ、力が欲しい!!
知力でも体力でも精神力でも忍耐力でも何でも良い。何か一つ、人に誇れる能力が・・・。
あるいは、何かしら人を惹き付ける魅力・・・。
こんなボクを輝かせる事が出来る、こんなボクを地獄から救い出す事が出来る力・・・。
力・・・。
力が欲しい・・・。
そうさ!!ボクに力さえあれば・・・。
もう二度と、こんなつらい思いをしなくても済むのに・・・・。
力・・・。
力・・・。
力さえあれば・・・。
力さえあれば・・・。
それで良いんだ!!
(つづく)
★力への執着は、のひ太を地獄の日々から救い出す事が出来るのか!?この時こそ、不幸の星の下に生まれた、のひ太の権力志向が芽吹いた瞬間であった。しかし、魔王としての覚醒は、まだしばらく先の話となる・・・。のひ太の、明日はどっちだ!?