夏休み二日目。
さあて、いよいよ、ボクの人生を劇的に変貌させるビフォー・アフターとなるべく、栄光の日々に向けての改革の口火を切るとするか!!
・・・と、その前に。腹が減っては戦は出来ぬ・・・とも言うし、なんか食べよっと!!
とは言ったものの、ママが出て行ってからというもの、パパはテーブルに小銭を置いて行くだけで、他にはカップ麺の買い置きがあるだけだからな~・・・。トホホ・・・ボクの輝ける人生の門出を祝う豪華な食事なんて、とても出来そうにないよ・・・。
あっ!!それに、そうだ!!今日は日曜日だから、パパも家に居るんだった。
パパ・・・と言うか、アイツと来たら、一応会社には通って何とか生活費は稼いでくれてはいるものの、家に居るときはいつも飲んだくれてばかりだからな~。だからこっそりキッチンに忍び込まなきゃ・・・。
ボクは静かに階段を下りると、居間の扉を横目にキッチンへと向かおうとした・・・。
すると、今日は居間の扉が開けっ放しになっており、中からアイツの声が・・・。
「おう!!のひ太か!!夏休みだからってこんな時間まで寝てちゃ駄目だぞ~!!ちゃんと勉強しなきゃあ、ママにも逃げられる私の様な駄目人間になってしまうからな~!!ウィ~っぷ!!」
(のひ太のこころの声)・・・ったく、うっせ~な!!解ってるよ!!誰があんたみたいに落ちぶれて飲んだくれてばかりいる様なだらしない人間になるもんか!!ボクはあんたとは違うんだ!!ボクはこの夏休みを利用して、新しい人間に生まれ変わるんだ!!あんたはただ、ボクが高校卒業するまで毎日会社で働きアリの様にこき使われて、ボクにお金を運ぶ事だけが役目の、軽蔑すべき同居人に過ぎないんだ!!
ボクは、何故だか溢れてくる涙をぬぐいながら二階の自室に戻ると、お湯を入れたカップ麺をすすった。
やるぞ~!!絶対に!!この不遇な状況を覆して、自分の人生を自分の力で切り開くんだ!!
ボクはやる!!
ボクがやる!!
ボクはやれるんだ!!
ボクはやれば出来る子なんだ!!
あんな大人には絶対にならない!!
ボクは負けない!!
ボクは勝つ!!
絶対に!!
力を手に入れて、このマイナスだらけの虚しく不毛な人生から抜け出すんだ!!
(つづく)
★「がんばれ!!のひ太!!」・・・。ウフフフフ・・・。