Mr.エレクトの独り言 2005年6月12日「破壊宙Vol.2」at新宿JAM~レポ③

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

2005年6月12日「破壊宙Vol.2」at新宿JAM~レポ③

さて、トリはオシリペンペンズ。スモークが焚かれ、何かが起こるムード満点。

客は口々に、「モタコ~!!」「キララ~!!」と、メンバーの名を叫ぶ。人気絶頂である。時には「アホ~!!」と叫ぶ輩もいるが、もちろん、愛ある呼びかけである。

この日のモタコ氏は、なんだか泣いていた様で、よく聞き取れなかったが、「大事なものを失ってしもうた・・・」とか、「取り返しのつかない事をしてもうた・・・」みたいな事をつぶやき続け、客の盛り上がりなど、まったく意に介さぬ様子。とは言え、時間が押していたせいもあるのか、矢継ぎ早に曲は演奏され、そんなにネガティヴな空気にはならなかった。

終始、客席に分け入って唄うモタコ氏。そのうち、客に持ち上げられ、ついには、逆さになり、少なくとも5歩は、逆さになって天井を歩いてた・・・ッス!!その間もどこからか歌声は聴こえてくる・・・。そして、しまいには、客席の後方で天井の照明を壊してしまった。

危ないから、ホント、身体には気をつけて~。

しかし、何と言うのだろう。あのペンペンペナペナした奇妙な音色のギターと、スッタカタスタタタタンなオカズのみ連打してるかの様なドラムとの、二人だけの演奏なのに、何だか異様な空気がライヴハウス内に充満する。原始時代に行われていた儀式の様な(と言っても、観た事無いけどネ)、時間が捻ぢ曲がるかの様な感触。キララ氏のギターは、まるで蛇使いの笛の様に、迎氏のドラムは、身体に取りついた悪霊を追い出すかの様に、モタコ氏を予測不能な行動に駆り立てる。

う~ん、これは今までに観た事が無い。

そこに居るのは、正直過ぎる程に生身で生きている人間と、非日常的な空間を演出する、実力に裏打ちされた超個性的な演奏。

やっぱ、こうでなきゃ。

目も耳もステージ(及び客席?)に釘付けにさせられるライヴと言うのは、そうそう無い。私にとって、ライヴを観に行くと言うのは、動物園や遊園地に行く様なもんで、刺激や快楽を求め、日常を忘れるための行為なのだから、金だとか出世だとか名誉だとか結婚だとか政治だとか、そんなどうでも良い事、将来への不安、果ては明日の予定さえ、チラっとでも垣間見えたら、白けてしまってしょうが無いのだ。ゆえに、客が名前を叫ぼうが、唄を合唱しようが、まったく意に介さず、己が本能に基づくママに歌い叫び動き回る、野性の獣の如きモタコ氏の姿は、うらやましくもあり、時に美しいとさえ思ってしまうのである。

人間が純粋なママで居続ける事は非常に困難であり、この世は、人間が純粋であり続ける事を決して許さない。そんな人間界に反逆するかの如く、私は、この様な天然記念物、保護すべき野性動物を観るのが大好きなのである。

正義が多数決で決められる世の中では、明らかに、私の嗜好、思考は間違っている。まったく困ったものである。

しかし、だからこそ、生きる事すら困難な人、そんな、“困った人達”による表現行為が、好きでたまらないのだ。

(レポおわり)