ボクは・・・想い出していた・・・。
楽しかったあの頃・・・。そう、ボクたち家族三人が、和気あいあいで過ごしていた幼少期の頃を・・・。
パパはボクを一度さえ叱った事などなく、とことん優しかったし、ママはいつも明るく、我が家はいつも笑顔と至福に満たされていた・・・。
もっとも、ボクは学校でこそ、ショック団のシャイアンとスネトに苛めを受けてはいたけれど・・・。
だのに、あの日・・・そう、あの日からボクたち家族は、そしてボクの人生は大幅に狂ってしまった。
それはあいつ・・・あの忌まわしきドラへもんが我が家にやって来た日からなんだ。
確かあの時、パパはこう言った・・・。
パパ「いいか、のひ太、よく聞け。どうもパパはやさしすぎて、お前を駄目にしてしまうきらいがある。本当はもっと厳しくのひ太を教育しなきゃあならん立場だと言うのに、父親失格なんだよ、パパは・・・。」
そして、ボクはこう答えたはずだ。
のひ太「ううん!!そんな事無いよ!!パパはやさしくて素敵なパパだよ!!」
・・・と。
だからって、あんなロボットの家庭教師を頼むなんて、パパのした事はやっぱり、親としての責任放棄以外の何物でもないよ!!
ボクは・・・。
ボクは、駄目人間でも良かったんだ・・・。
こんなつらい思いをするくらいなら・・・。
うう・・・。
だけど、本当に・・・。
だけど、本当にそれで良いのかと問われたら、ボクは答えに詰まるだろう。
いずれにせよ、いつかはパパとママに心配や迷惑をかける事になってしまったかも知れないし・・・。
でも、でもさ!!ボクはまだ小学生なんだ!!もう少し、もう少しだけパパやママに甘えたって良いぢゃないか!!
ひどいよ!!
どうしてボクだけ、こんな悲しい目に遭わなくちゃならないんだ!!
憎むべきは・・・。
本当に憎むべきなのは・・・。
あいつか!?
(つづく)