夏休み最終日。
昼過ぎに目を覚ましたボクがトイレに行こうと部屋の扉を開けると、そこには一通の便箋が置かれおり、中身を見ると、それはパパがボクに宛てた手紙だった・・・。
『のひ太へ
こんなパパを許しておくれ。
パパは、私のパパ・・・つまりお前のオジイさんに当たる人と、生前に、とある約束をしたんだ。
オジイさんはいつも、私の優しく大人しい性格に気をもんでいた。
だから、私に子供・・・そう、のひ太が生まれた時に、ちゃんと厳しく子育てが出来るのかと不安で、いつもその事を口にしてたんだ。
このままぢゃ、安心して死ねない・・・とね。
それで私はオジイさんを安心させるために、もし私が自分の子育てに迷う事があれば、オジイさんみたいに頼りになる家庭教師を雇って息子をきちんと教育し直しマスから、安心して下サイよ・・・と伝えたんだ。
その約束をした数ヵ月後、まだお前が物心つかないうちにオジイさんは死んでしまったからな、お前はオジイさんがどんな人だったか、その記憶さえないだろうが・・・。
実を言うと、あのロボットの家庭教師、つまりドラへもん君のオプション機能であるキャラクター設定に使用したデータは、すべてお前のオジイさんのものだったんだよ。
ウフフフ・・・とは言ったものの、どうにも相性が悪かった様で、オジイ・・・いや、ドラへもん君はお前に壊されてしまったがな。
あ、いや、それをどうこう言おうってんぢゃない。
今にして思えば、子育てを人任せにする私こそとんでもなく無責任な親で、パパは本当に父親失格だったな・・・と反省する事しきりだよ。
だから、これからは酒も控えて、のひ太にも尊敬してもらえる様な立派な父親になるために私も努力するよ。
ところで、明日からまた学校だな。
よし!!今晩は久々に、親子で一緒に夕飯を食べよう。
パパより』
・・・そうだったのか!!ドラへもんの、あの乱暴で下品な口調は、みんなボクのオジイさんの・・・。
それにしても戦時中の軍隊ぢゃあるまいし、あんな横暴で威圧的な教育方法が現代っ子に通用すると思ったら大間違いだ!!
古いんだよ!!考え方が!!
ボクみたいなひ弱な子供は、もっとのびのびと自由に育てなきゃ!!
あ~あ・・・。
そんな事より、今日で夏休みも終りだからな~。明日からまた学校だよ。
あ~あ・・・。
行きたくないな~・・・。
また登校拒否してヒキコモリしようかな~・・・。
(つづく)
★嗚呼、度重なる艱難辛苦を乗り越えて、いつしかのひ太にも幸せな日々は訪れるのであろうか・・・。