おばあちゃん・・・。
ボクは、幼少期の頃を想い出していた。
ボクが小学校に上がる前に死んでしまった、おばあちゃん。
思えば、パパやママよりもボクにやさしく・・・それこそ甘やかすと言っても良いくらいに接してくれたのは、誰でもない、おばあちゃんだった。
あれはボクが迷子になった時・・・。歩き疲れ、泣きはらした顔のボクを、家までおぶって連れて帰ってくれた、おばあちゃん。
ボクが近所の子に苛められて、ぬいぐるみの熊の腕を引きちぎられた時、夜なべして縫って直してくれた、おばあちゃん。
ボクがわがまま言って困らせた時も、何一つ怒らず、辛抱強くボクをなだめてくれた、おばあちゃん。
そのくせボクは、いつもおばあちゃんに無理難題をふっかけて、おばあちゃんを粗末に扱って・・・。
結局、おばあちゃんに「ありがとう」の一言すら告げる事すらないまま・・・。
おばあちゃんは死んでしまった・・・。
おばあちゃん・・・。
・・・ハッ!!
騙されちゃ駄目だ!!
そこに居るのは、あくまでもおばあちゃんのパーソナリティ設定をインプットされた家政婦ロボットに過ぎないんだから!!
それにしても・・・。
思えばボクの短い人生において、本気でボクと触れ合い、本心から向き合ってくれたのは、死んだおばあちゃんだけだったかも知れない。
確かにパパもママもやさしかったけど、あの人達は、しょせん傍観者に過ぎないって気がするよ・・・。
(つづく)