これだけ、音楽に関してあれこれうるさい私だが、食に関しては、実に無頓着と言うか、とてもグルメとは言い難い。そもそも好き嫌いが多く、肉は牛・豚・鶏、すべて駄目。野菜も今でこそいくらか食えるが、子供の頃はキュウリとモヤシしか食わなかった。一体何を食べて生きてきたのか、と言う感ぢだが、ゆえに小学校の給食に関しては、実に苦痛であった(後に「給食地獄篇」として紹介予定)。COCO一番のカレーをマズイと言う友人がいるが、私なんか、肉さえ入ってなければ全くノー・プロブレムで食ってしまう。まあ、なんせレトルト・カレーを何の不満も無く日常的に食えるので、それ以前の問題であるが・・・。
人はメシを食うために生きるにあらず。人は生きるためにメシを食うのだ。
と、言いきるとカッコ良いが、単なる味音痴とも言える。でも、音楽に関して異常にこだわるのは、やはり少ないこづかいでレコードを買わなけりゃあならなかった、中学生や高校生の頃の怨念があるのかも知れない。高校2年の頃、姉から広島市内に中古レコード屋がある事を教わり、定価の半額で買える嬉しさから、ちょこちょこ買いに行く様になった。フリクションの10インチのライヴだとか、陣内のロッカーズのLPだとかを買った記憶がある。で、2回に1度は、洋楽LPの試し買いをしてて(金も無いのに・・・)、ストゥージズの「FUNHOUSE」はダムドが1曲カヴァーしてたので買ったけど、たいていは、ほとんどジャケ買いで、ポップ・グループのセカンドもここで買った。他にはMX-80サウンドだとか、ボンゾ・ドッグ・バンドとか・・・、良く理解出来ないものも多かった。でも、めげずに買ってて、ある日、パンク~ニュー・ウェイヴ系と思わしきモノクロのジャケとクリア・ヴィニール盤、超ヤバイ、処刑シーンの写真等を掲載したインサートが挿入されているレコードを買った。これがなんとホワイトハウスで、A面の頭から、B面の終わりまで、ただただ「ピ~・・・」と、発信音が入っているだけのシロモノ。これには本当に激怒した。高校生が、なけなしのこづかいはたいて買ったレコードの内容が、こんなサギの様な・・・、と言うより、こんなレコード、何のために作る必要があるんだ!!・・・と。
持ってるお金の限度だけでは無い。例えば、明日にも死ぬとしたなら、「死ぬ前に○○亭の○○が食いたい」とか、「死ぬ前に一度で良いから○○を食ってみたい」と、食通、グルメの人、否、そうでなくとも、たいていの人は考えるだろう。だけど、食に関してこだわらぬ私などは、食よりも音楽。日々、寝起き時とか、いつもたいてい身体がだるい時が多く、ゆえに、常に人生の短さ、はかなさをリアルに実感せざるを得ないため、一秒でも嫌いな音楽のために無駄な時間を過ごしたく無い。ゆえに、一刻も早く、自分の好みを見極める必要に迫られていたとも言える。
美味しい食べ物を食べた時、「あ~、生きてて良かった」と感ぢる様に、好きな音楽を聴いて、「あ~、生きてるって素晴らしい」と感ぢたいし、もっともっと良い音楽を聴きたい。「あ~、いつ死んでも良い」と思わせて欲しい。