Mr.エレクトの独り言 「地獄の子守唄」

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

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「地獄の子守唄」

エレクトタイムス24「地獄の子守唄」

マリア観音の「徒花」と言う歌に「お前の地獄と俺の地獄の どっちが重いか比べよう」と言う歌詞があり、私は非常に好きなのだが、もちろん、これは実際に比べてどうのこうのと言う話ではなく、あくまでも「俺の地獄の深さ重さがお前に解るのか?」と言った問いかけであり、「俺の地獄の深さ重さを解ってくれ!!」と言う、抑圧もしくは疎外され続けた孤独な人間が救いを求めて発するメッセージでもある訳なのであるが・・・。

そもそも、死後の世界に“まで”地獄は存在しないと考える私にとっては、この人間が住む地球にこそ地獄はあり、それを作り出しているのは人間自身であるとの考えを強く主張する次第。

・・・否、もっと正確に言えば、地獄を認識出来るのは人間だけである・・・とでも言い換えるべきか。

例えば、動物や昆虫の世界においては、我々人間から見れば「何と残酷な!!」と思える生態が往々にしてある訳なのであるが、彼らにしてみればそれは自然の法則と言うか、その種族の持つ本性や本能に忠実に生きるがゆえの帰結な訳で、他の種族である人間がそれを残酷だ何だと定義するなど、おこがましいにも程があるのだ。

しかるに、人間社会において生み出される様々な地獄絵図、それらもある種、人間に備わっている種族保存の本能からもたらされる利己主義的な精神や行動が生み出す必然的な結果であると言えなくもない。

しかしながら、人間が動物と唯一異なるのは、その在り様を自然の法則に基づく必然的な結果であると黙って受け入れる事が出来ない点にあり、そしてまた、その状況を死後の世界に存在すると言われる“地獄”になぞらえて言い表しているに過ぎないのである。

よって、要するに地獄とは、この世の中に実在すると言うよりは、人のこころの中にのみ在る概念であると言う言い方も出来よう。

ゆえに、その情景や光景、更にはその深さや重さを他人に正確に伝えると言う事は、そうそうたやすい事ではない。

仮に、同様の・・・あるいはそれに近い状況を体験した事がある者であれば、共感する事も出来ようし、想像力すなわち積極的に歩み寄る事によって伺い知る事も出来よう。しかし中には、全く想像すら出来ない人間が居たとしても何ら不思議ではない。

そう言う意味においては、「地獄」(=人間のこころの内にある偏った世界観)を描いた作品を理解出来る人間は自ずと限られてくるし、更にそれが深く重くなればなるほど、理解力や想像力(=積極的な歩み寄り)も届かなくなってしまうのは自明の理なのだ。

だが、地獄を知る者にとってみれば、そこに描かれている地獄の重さや深さがあまりにも浅いと、シラケを通り越して怒りさえ覚えるもの・・・。

そもそも「孤独」とは、そばに誰かが居るとか居ないとかではなく、自分のこころの内の世界を誰も理解してくれないどころか、この世に自分が共感もしくは共鳴出来るものが何一つ・・・あるいは殆どない状態の事を指す。

そこで、その様な孤独な人間は自分で地獄を描くしかなくなる訳なのであるが・・・。

そんな「地獄の絵」、あるいは「地獄の子守唄」を必要としている人間が、この世には必ず居るのだと言う事を忘れないで欲しいのだ。

かつて、TVアニメ「タイガーマスク」のエンディング・テーマ「みなし児のバラード」の作曲者である菊地俊輔を賞賛する際に用いた、「孤独を知らぬ者には孤独を描く事など出来ない。」と言う私の名言(←自分で言うか!!)があるのだが、同様に「地獄を知らぬ者には地獄を描く事など出来ない。」・・・のである。

考えてみて欲しい。どれだけの知識があっても、どれほどの技術があっても、実際に目で見えるもの・・・もしくはこころの内や頭の中に思い描く事が出来るもの以外は、絶対に描けないのだ。

仮に、地獄を全く知らぬ者が想像力をフルに働かせて地獄の絵を描いたとしても、それこそ、その浅さや軽さが浮き彫りになるだけであろう。

「地獄」や「孤独」に苛まれている人間と言うのは、おそらく「どうして自分だけがこんな仕打ちを受けなければならないんだ・・・」と考えがちである。

そんな人達にとって、自分の「地獄」や「孤独」に見合う「地獄の絵」や「地獄の子守唄」の存在が、どれほど救いになっている事か・・・。

だから、それを誇りにこそすれど、悲嘆に暮れたり劣等感に苦しむ事などない。

「地獄」を描く事。・・・それは、「地獄」を知る者だけに許された特権であり、課せられた使命なのだ。

2009年4月17日/Mr.エレクト(エレクトレコード代表)
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