初めて、友川かずきのライヴを観たのは、吉祥寺のMANDA-LAⅡだった。客の人数は20人弱。その日は、元・頭脳警察のTOSHIサンがドラムで、女性(だったと思う)ピアニストとのトリオ編成だった。
感動した。これだ、と思った。私が、音楽に対して、常に求め続けたモノ。真剣勝負の気迫、まさしく「生きてるって言ってみろ」と、抜き身の刃を突きつけられた気分。効果音的なドラムも良かったし、かき鳴らされるアコースティック・ギターの激しい音色を、美しく昇華させるピアノも良かった。・・・が、やはり友川かずきの詩、唄、歌、肉声。全身を硬直させ、魂を絞り出すかの如き、その姿は、私のこころに、日本人アーティストに対しての希望を再び灯して余りあるモノであった。凄絶な曲の後での、ユーモラスかつなごやかなしゃべりも、全く気にならなかった。私が、あまりに必死にステージを睨み続けていたせいか、「鬼の様な顔してるんだな・・・」と、友川氏がポツリとつぶやいた。全く脈絡の無いセリフだったので、ドキッ・・・とした、「自分の事か・・・」と。自分でも、恐い顔をしていたと思う。観ているこちらも本当に真剣だった、でも、そこからはリラックスして楽しむ事が出来た。私は思った、「こんな人がまだ居たんだ」・・・と。そして、こころに決めた。「よし、次から、毎回観に来よう」。
しかし、その期待はあっさり裏切られた。
次に観た友川氏は、すっかり泥酔しており、おしゃべりも超ネガティヴ。有名人に対する愚痴を言ったり、更にはライヴの時間も短かったり・・・と、期待を大幅に下回る出来だった。
当たり外れがあるってのは、やっぱり違うよな・・・。少しずつ集めた、友川かずきのレコードは、どれも良い出来だったので、レコードは聴いていたが、ライヴには、しばらく足が遠のいた。
何処かに居ないのか?死ぬ気で、本気で、徹底的に、全身全霊、音楽と心中するかの如き情熱的なアーティストは。
足りないんだよ、そんな程度ぢゃあ。今にも死にそうな俺のこころを癒す事なんて出来ないんだ!!