授業が終り、ボクはそそくさと教室を後にした。
さあ!!早く帰って昼寝しよ~っと!!
そして、校門の陰から辺りを伺うと、今日も、いつもとは違う道を選び、家路に向かった。そして、とある曲がり角を曲がったその時・・・。
スネト「お~い、のひ太~。何処行く気だ?あ~ん?」
ヤバイ!!スネトの奴だ。待ち伏せしてたんだな~・・・。
スネトって言うのは、大金持ちのムスコで、親に買ってもらったオモチャを皆に見せびらかして優越感に浸る、鼻持ちならない奴なんだ・・・。
のひ太「ど?何処行くって?家に帰るんだよ~。今日はママのお使いがあるし・・・。」
スネト「最近、儀式に来ねえよな~。今日もこんな廻り道してよ~。」
のひ太「え?いや別に、違うよ。ただちょっとさ・・・。」
スネト「まあ良いさ。ぢゃあ、今日は来るんだな?」
ボクはしぶしぶ、スネトの後を付いて行った。そこは、廃虚となった印刷工場跡で、奴等は秘密基地と称して、その建物を勝手に使用していたのだ。
スネト「まあ、そこに座れや。・・・・ところで、のひ太~。例のものは持って来たか?確か、今月分がまだだったよな~?」
そう。ボクは、おこづかいの大半を、こいつらに取り上げられていたのだ。
のひ太「その事なんだけど・・・。」
ボクは、辺りに人気が無い事を確認すると、前々から決めていたある事を、実行に移そうと、拳を固く握り締めていた。スネトひとりなら、何とかなる・・・。そう、ボクは今日こそ、この理不尽な取りたてに対しての異議申立てを強行しようと、以前から決心を固めていたのだ。でも、不思議なもんだ。それまでのボクであれば、どんな最悪な事態に対しても、ただ歯を食いしばって我慢する事しか出来なかったのに、あのドラへもんへの怒りと憤りが、少なからず、ボクに反発する意志を芽生えさせていたのだ。そう言う意味では、あいつに感謝しなきゃならないな・・・。そんな事を考えつつ、ボクは重い口を開いた。
のひ太「スネト。そ・その事だけどさ・・・。ボ・ボクは今日は払わないよ。」
スネト「何~?のひ太のくせに~。生意気だぞ、お前!!」
のひ太「や・やるか~・・・。」
その瞬間。元々、印刷工場の事務室となっていた奥の部屋から、野太い声がした。
「お~い、スネト~!!のひ太が何か面白い事言ってんな~。」
ヤバイ!!あいつ居たんだ!!そう。スネトを陰で操る黒幕、本名ゴ~ダタケオ、通称シャイアンである。
(つづく)
★ついに現われた、謎の黒幕。のひ太は、五体満足、無事に工場跡の廃虚を後に出来るのであろうか?待て、次回!!