Mr.エレクトの独り言 「放棄園」④

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

「放棄園」④

・・・とは言え、“自己の不快感を解消する事”も大事な行為であり、それを溜め込むんでしまうと、ある意味、事件とは無関係な自分も被害者の一人となってしまうとも言える訳であるからして、とりあえず怒ったり悲しんだりする事も必要ではあろう。

しかるに、自分を苦しめるその元凶(←弱い自分自身も含め)を見極め、せめてそれら(or自分より強い者)に直接復讐するなり、あるいは弱さを克服するために厳しい現実に立ち向かうなりと言った行為をせず、自分より更に弱い者や無関係な者を犠牲(=巻き添え)にすると言う、不毛な弱肉強食の負の連鎖を繰り返した犯人に対しては、野次馬たる私達が怒らなくともそれなりの処罰が下されるはずであろうから、更に私達の怒りのエネルギーをそこに注いでしまうのはもったいないのではないかと私は思うのである。

要するに、これでは部屋にゴキブリが出る度に驚いたり怒ったりしている様なもので、こんな対症療法ばかり続けていたのでは、未来に起こり得る悲劇を無くすどころか、減らす事すら出来ないのではないか・・・と。

さて、それではどうしろと言うのかと問われれば・・・。

これはやはり、生贄たる犯人自身や事件の表面的な部分のみならず、その更に内面及び背景にも目を向け、根本的な発生原因を根絶すべきであろう。

具体的に一例を挙げれば、まずは彼女や彼の人格形成を担った親にも、その矛先は向けられてしかるべき。

ただし、ここで誤解して欲しくないのだが、私は何も犯人を庇おうだとか、罪を軽減すべきなどと言っているのでは全くない。

何故なら、如何に不幸の星に生まれようとも、如何なる理不尽な抑圧を受けようとも、他者の生命や財産を奪う様な事は絶対にしないと言う人間が実際には殆どであろうし、皆それぞれに、その運命を甘んじて受け入れるか、あるいは撥ね返そうと日々努力しているのだから。

そもそも、自分の子供に対し、「どんなに苦しくとも、どんなに生活に窮したとしても、他人に迷惑をかける様な事をしては駄目」・・・と言う事をきちんと教えておく事は、親として当然の責務であるはずなのだ。

ゆえに、親にもどんどん罪を背負わせ、罰を与えなければいけない。

そして、そうする事によって、生半可な気持ちで子供を産んで育てようなんて言う人間を少しでも減らすのである。

子供が将来犯すかも知れない罪を背負う覚悟もなしに、子育てをして欲しくない。

・・・と言うか、そもそもの問題は、人が子育てをする際、それはたいてい初めての経験であり、その手本となるのは自分が親からどう言った育て方をされたかと言う事が主要なデータとなり、それを良しとする場合はその方法を真似し、それが悪しきと思った場合はそうならないよう反面教師とするのが主であるが、その中でも特に良くないのは、まずい子育てをする親のやり方を知らず知らずのうちに踏襲してしまうケースであり、それこそまさしく負の連鎖を断ち切れぬがゆえの最悪のケースであると言えよう。

そんな行き当たりばったりの、自分がした子育ての結果に責任を持たなくても良いやり方を続けていたのでは、いつまで経っても真っ当な子育てなど出来やしないし、負の連鎖を断ち切る勇気のある大人も生まれ得ないのである。

否・・・、むしろ、下手な親なら居ない方が良い場合すらあるだろう。

子供は言葉を覚えるのも、人への接し方を学ぶのも、善悪の基準を知るのも、すべてそばに居る親なり親代わりの保護者なり大人から教育もしくは影響を受けるのであり、学習や真似をするその対象にすべての情報源を依存しているのだ。

狼に育てられた子供は何年経っても、人間と接しない限り、いきなりヒトの言葉を話し始めたりなんかしないのである。

よって、そう言う意味においては、彼女(放棄親)や彼(秋葉原)がした非道な行いは、親(の育て方)に対する仕返し(復讐)だったと言えなくもない。

・・・だとすれば、それはそれで大問題である。

家庭内の怨恨問題は家庭内で処理すべきであり、それを社会にまで持ち込んで、しかも無関係な他人に危害を加えるだなんて、とんでもない話であるとしか言いようがない。

そもそもは、個人の欲望にしか過ぎない“夢”などと言ったものを親が子供に押し付け、弱肉強食の競争社会に放り出すだけ放り出しておきながら、しかし夢叶わず敗れた者を受け入れる場所などどこにもなく、自分が持ち得る運や能力以上の夢を抱いてしまったがゆえに負け犬気分で死ぬまで生きなければならない人間がその鬱屈した気分をはらす方法が更なる“弱い者虐め”しか思いつかないと言う、“想像力の欠如”にこそ最大の原因がある。

子供の親に対する自発的な愛情など、そこには微塵もない。

子供は親から愛されたいだけ。

だがしかし、親に愛される方法は一つしかなく、しかもその道を絶たれてしまったのだ。

それもこれも、親から押し付けられた価値観や選択肢に対し疑う事も抗う事もせず、強い者の言いなりになって来た子供の側にも責任があると言えなくもないが・・・。

所詮、弱い者は強い者に頭を下げなければ生きる事の出来ない世の中。

もし仮に、弱い自分を克服して強くなった者が居たとしても、強くなったらなったで、やはり弱い者を虐げる様になるのだろう。

同様に、親になったらなったで・・・。

自分より弱い存在である子供に対し、その人格を形成する手助けをするのではなく、ただただ自分の思い通りにしようとするのであろう。

弱肉強食の名の下に・・・。

負の連鎖が断ち切られる事はなく。

服従の連鎖が断ち切られる事はなく。

復讐の連鎖が断ち切られる事はない。

(おしまい)

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