そしてついに・・・教壇の上に残されたのは、ボクことのひ太と、トロヲの二人だけとなった・・・。
しかも、最後の最後になって、またもやとんでもない事実が発覚したんだ。
女子生徒A「あれ!?ナチコ先生!!女子はもう残り一人デスよ!!」
ナチコ先生「あら?ホントね~!!そっか、男子と女子の数はどのクラスもぴったし同ぢって訳ぢゃないものね。先生、失敗しちゃったな~!!」
・・・バカな!!そんな、今頃になって!!・・・ぐぅ!!・・・しかし、その女生徒が言った事は本当で、確かに・・・改めて良く見ると、残った女子は既に一人しか居なかった。
・・・ところが!!この予期せぬトラブルが、ボクに勝機を与えてくれようとは!!
ホンの一瞬、そう本当にそのホンの一瞬、生徒全員の目が残り一名の女子生徒に向けられたその瞬間、ボクはトロヲの腕を掴み、グイと引き寄せるや、無言でこう命令した。
「場所を代れ!!」(←こころの声)・・・と。
すると、それまでうつむいていたトロヲは少しばかり驚いた様子だったけど、何が何やら解らぬうちに、ボクの立ち位置を入れ替われとの要求を言われるがままに受け入れたんだ。
やった!!これで間一髪救われた!!アハハハハ!!どうだ見たか!!物事は、やっぱ最後の最後まであきらめちゃ駄目って事さ!!
これで最下位・・・しかも誰からも相手にされず独りぼっちになってしまう最低最悪のケースだけは免れた!!
ウフフ・・・ボクはなんて頭が良いんだろう・・・。
そして最後の選択の儀式、案の定、残りの女子は顔も上げずにボクのそばに近づいて来る・・・。
ボクはその女子を睨み付け、またもやこころの中で、こう念ぢ続けた。
「良し良しイイぞ!!この残り物のクソ女め!!早くボクを選ぶんだ!!」・・・と。
・・・がしかし!!ここでまた、最悪のどんでん返しが起きた!!
ナチコの何気ない一言が、ボクにとってこんなに致命的な結果をもたらそうとは・・・。
ナチコ先生「あらあら、もっとしっかり男子の顔を見て、ちゃんと自分の好きな方を選ばなくちゃ駄目よ~!!」
その言葉を聞いて、残りの女子はハッと我に返ったかの様に、ボクの顔を見上げたんだ。
その時のボクの顔と来たら・・・おそらく、ものすごく恐ろしい形相だったに違いない。
だって、まるで憎しみをぶつけるかの様に、「ボクを選べ!!ボクを選べ!!」と、その子を睨み付けながら無言で訴え続けていたんだから・・・。
そして、そんなボクの鬼の様な顔を見て驚いてしまった彼女は、慌ててボクを避け、隣に居たトロヲの方を選んでしまったんだ!!
うぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・!!
そんなバカな!!・・・こんな事って・・・。
しかも更に、教室に居た生徒の誰かしらから意味不明の拍手が沸き起こり、そのせいでボクのこころは抗いがたい羞恥と恥辱の念で埋め尽くされ、まるで頭の上から生暖かい糞をぶっかけられた様な気持ちにさせられたんだ・・・。
ナチコ先生「あらあら、それにしても、最後に男子が一人余っちゃうなんて、ナチコ困っちゃう~!!」
その言葉を聞いて、教室は爆笑に包まれた。
ふざけるな!!今頃になって困っちゃうも何もねえ!!
こんな惨めな・・・こんなみっともない姿を大勢の前にさらして・・・。
ああもう、ボクは今すぐここから消えてしまいたい!!
この屈辱・・・一生涯忘れないぞ!!
ぐぎぎぎぃ~!!ナチコめ~!!この怨み、どうしてくれようか!!
(つづく)