
「目撃者」~当店取り扱い分は限定盤・通常盤共に売れ切れマシタので、作品の詳細は割愛させて頂きマス。
<解説>簡潔に言うなれば、CDでは同バンドの魅力の一面である荒々しい演奏が、そしてDVDでは特に中村達也氏のパワフルなドラミングとハイ・テンションなパフォーマンスが堪能出来るものとなっておりマス。
<注釈>CDの5曲目は1985年3月2日@バウスシアターではなく、おそらくは1983年11月5日@渋谷屋根裏におけるライヴ音源であろうと思われる。また、DVDは元々のマスター映像自体が途中切れで収録されているため、後半の3曲はいずれも不完全収録となっておりマスので、ご注意下サイませ。(←自分も今回それを知らず、異常に気合入れて観てたもんで、ちょっと拍子抜けしちゃいマシタYO・・・。)
<前口上>
今回から、前編後編2回に分けてマスターベーション(以下:マスベと略す)と言うバンドの思い出を綴りマス。これは、例えば自分が’60年代後期のGSや’70年代初頭のニュー・ロック台頭期の日比谷野音でのライヴを観た方のエピソードを聞きたいと考える事と同様、私や誰かが経験した時代の話を聞きたい方も必ずや居るであろうし、自分が誰かに何かを望むのであれば、まずは自分自身がそれを実践すべきと考えるがゆえに行うものでありマス。
<本題>
広島県在住の高校生の私が同バンドを初めて知ったのは、1983年、友人が雑誌DOLLの広告を見て通販で購入した「OUTSIDER BOOTLEG」と言う同誌主宰レーベルから発売された日本のパンクの自主制作オムニバス・ライヴLPを聴いた時であった。
このレコードは、当時日本でも登場し始めたハードコア・パンク・バンドをA面に、B面にはもっと広い意味でのパンク・ロック系のバンドを集めたコンピレーション盤であり、私は特にA面のカムズとB面のマスベに対し強烈にこころを奪われてしまったのであるが、これは私と同世代の方であれば大いにうなずき共感して頂けるものと思う。
その前後、THE EXECUTEのソノシートや奇形児のソノシートを通販で購入し衝撃を受けた私は、それまで大好きであったザ・スターリンのサウンド面における激しさや攻撃性を更に先鋭化したかの如きハードコア・パンクに、そしてまた同バンドの特質であるヒトの内面に蠢く鬱屈とした心情をさらけ出すと言った方法論を更に増幅したかの如き奇形児やマスベに、それぞれ強く傾倒して行くのである。
ちなみに、奇形児と言えば元スターリンのTAM氏主宰のADKレコードからのリリースであるが、同レーベル第二弾であったマスベの1stEPは問い合わせた時点で既に売り切れており、「ADKオムニバスVOL.1」は送金したにも関わらず、同氏直筆による「売り切れごめん」のメモ同封の上、返金分の切手と共に返送されてきてしまった。(TT)
・・・とは言え、DOLLの「売りたし買いたし」で知り合った東京在住のテープ交換相手に録音してもらったお陰で、すぐにその2枚のレコードを聴く事は出来たのである。
そして1984年5月に私は上京するのであるが、既にカムズや奇形児は解散してしまっており、THE EXECUTEもその頃は活発に活動していないと言った状態であった。
さて、それでマスベはと言えば、同年6月に法政大学で3日間に渡って行われた「東京バトルDAYS」に当初は出演予定とされていたので、私はそれを楽しみに出かけたのであるが、当日彼らは出演せず、私がマスベのライヴを初めて観たのは同年9月に行われた同ライヴ企画の第二弾である「東京バトルDAYS2」となるのである。
なお、今回発売されたライヴCDの限定盤付属DVDに収録されている映像は同日のものであり、客席右手の方向から撮影されているものなのであるが、実は同日のライヴ映像には客席左手の方向から撮影された別アングルのものも存在する。ただし、そちらはほぼ完全収録らしいのだが、全編に渡り卑龍氏のみをズームで追っており、他のメンバーは殆ど映ってないものであるらしい。
また、同日は発売したばかりの2ndソノシートが会場で販売されており、翌1985年3月に活動を休止するまで、マスベは卑龍氏・タツシ氏・タツヤ氏の3名によりメンバー・チェンジする事なく活動を続ける事となる。
私自身は結局、マスベのライヴを4度程しか観る事は出来なかったが、本音を言えば私がマスベの事を本当に大好きになるのは実はかなり後になってから・・・と言うのが正直な所であり、それはADKレコードからアルバム「被害妄想」が発売された後なのであった。
(中編につづく・・・)