Mr.エレクトの独り言 「MASTURBATION」(後編)
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

「MASTURBATION」(後編)

★気力に体力が伴わず掲載がちょっとばかし飛び飛びになってしまったため、主旨を伝えきれなかった部分があった様デスので、今回はいよいよ、分析・検証を兼ねた本題をば・・・。

「MASTURBATION」(前編)
http://erect.blog5.fc2.com/blog-entry-1982.html
「MASTURBATION」(中編)
http://erect.blog5.fc2.com/blog-entry-1983.html
上記のつづき・・・

さてそれでは、マスベの音楽活動における表現形態の変遷を時期によって区切るとするならば、大雑把に分ければ二期、更に細かく分ければ三期に分類される訳であるが・・・。

それは、オリジナル・メンバー編成による初期(V・A「OUTSIDER BOOTLEG」~1stEP)、卑龍氏が単身上京しメンバー編成が流動的な時期~タツシ氏と達也氏が加入した当初を中期、同メンバー編成が定着し活動が安定した時期を後期(2ndソノシート~ミニ・アルバム「被害妄想」)、とする事が出来よう。

そして、それぞれの時期毎に分けて、その魅力を解析するならば・・・。

初期は、イギリスやアメリカからの舶来モノでは無い、どこか浮世離れした、言うなれば日本的なピカレスク・ムードを漂わせたやさぐれ感を身に纏った佇まいに、その源泉を見る事が出来ようし、それゆえに、マスベの楽曲のテンポはそんなに速くないにも関わらず、ハードコア・パンク好きな人達からも多くの支持を得られたのではなかろうか。

そして中期は、長く住んだ郷里を離れ単身上京したため卑龍氏の実生活も安定しておらず、なおかつメンバー編成も不安定であったと言う事もあるのだろうが、まるで「明日など要らない」とでも言わんばかりの刹那的かつ自暴自棄的な荒々しさに、その本質が集約されているものと思われる。

そして後期は、前回にも述べたが、厭世的かつペシミスティック(悲観的)な精神状態から生み出された、自らのこころの内へ内へと向かう、ある種“ヒキコモリの独り言”とも呼べるそのベクトル(志向性)と、そこから得られるカタルシス(浄化作用)にあると言う事は間違いないだろう。

よって、先頃発売されたライヴ・アルバム「目撃者」には主に中期の演奏が収録されており、この時期の荒々しくも禍々しい演奏振りを堪能する事が出来るのだが、本CDで初めてマスベを聴くパンク好きな十代二十代の人達が、同バンドを単なる激しく乱暴な演奏をするパンク・バンドの一つとしてしか認識せず、同バンドが持つ他のバンドには無い稀有な魅力に触れる機会を逸するのではないか?・・・との危惧を私は抱いた次第なのである。

(もっとも、後期の演奏も2~3曲収録されてはいるが、あまりに音質が悪過ぎるため、これではその時期の魅力が正確に伝わるとは思えない・・・)、

ただしもちろん、この時期のライヴを実際に観る事が出来なかった私にとっては、本ライヴ・アルバムのリリースは非常にありがたい出来事であったと言う事も、偽らざる事実であるのだが・・・。

ゆえに、既に廃盤でプレミアが付いてしまってはいるが、私としてはやはり「被害妄想」も収録されている、OKレコードからリリースされたコンピレーション盤を先に入手する事をお薦めしたい・・・

★・・・と、そうやって事前に頭の中で文章の構成を練っていたのだが、ブログを書くのがあまりにも遅れ過ぎたため・・・★

何と、「被害妄想」をメインに据えて再編集されたコンピレーション盤が、近日リリースされるとのニュースが!!(^^;)
被害妄想

要は、この世にパンク・バンドは星の数程あれど、後期のマスベが持つ、言うなれば早川義夫の「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」や森田童子なんかにも共通する魅力を持った内向的なバンドやアーティストって、あんまり居ないって事なんだよね~。

思えば、同じADKレコード出身でありメンバーが被っていると言う事もあって同類として並び評される事の多い奇形児にせよ、極論するなら、同バンドのヤス氏が発するメッセージが「俺に振り向いてくれ!!」であるとするならば、マスベの卑龍氏は「俺に構わないでくれ!!」・・・なのではないかと。

そう考えると、マスベの活動初期~中期に行われていたライヴ中に自らの肉体をカミソリで切る卑龍氏のパフォーマンスも、そこに世間をあっと言わせてやろうと言う自己顕示欲や若気の至りが一切無かったとは言わないが、それは、「危ない奴」を自らが演じる事によって自分に近づこうとする人間を遠ざけようとするための、言わば自衛本能に基づくものだったのではないだろうか・・・との推測も為されるのである。

何にせよ私としては、もう一度マスベのライヴを観る事が出来るならば、やはり後期のメンバー編成、・・・まるで金属の棒をバキバキ叩き折っているかの様なぶっとい音を出すタツシ氏のベースと、ダイナミックでありながらも昂ぶる気持ちのみならず繊細な感情をも損なう事なく表現出来る達也氏のドラム、そして牢獄の壁を生爪で引っ掻き続けるかの如き卑龍氏のヒステリックなギターとエキセントリックなヴォーカル・・・でお願いしたい所。

だって当時は、「被害妄想」聴いてからマスベの事を大好きになって、これからライヴにもそれまで以上に熱心に通おうと思った矢先、1985年3月2日@吉祥寺バウスシアターのライヴを最後に、同バンドは告知も無く急に活動休止しちゃったんだもん・・・。(TT)