Mr.エレクトの独り言 禁未来小説「ドラへもん」その14「地獄の門」の巻
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

禁未来小説「ドラへもん」その14「地獄の門」の巻

泣き疲れて眠ってしまったボクは、深夜にふと目を醒ました。そして、乾いた喉を潤すため、台所のある一階へと降りて行った。すると、どうだろう。居間の扉の隙間から灯りが漏れており、何やら話し声がする。

「あれ?パパもママも、まだ起きてるのかな?」

ボクは、ある直感に導かれるかの様に、忍び足で扉に近づくと、こっそり聞き耳を立てた。

パパ「いや~、ドラヘもん君。やっぱり、このやり方は良くないんぢゃないだろうか?」

ママ「そうよね~。あの大人しいのひチャンが、あれほどまでに激昂するなんて、このママだと、将来が不安でしょうがないわ。」

ドラヘもん「パパさん、ママさん。まあまあ気を落ち着けて。この段階で、あんた方がそんな態度ぢゃあ、その大事なお子サン、そう、のひ太の野郎を教育し直すなんて事、とても出来やしませんぜ。」

パパ「う~ん、確かにね。ドラヘもん君の言い分にも一理ある。そもそもが、父親である私の優柔不断さと、兄弟の居ない一人っ子ゆえに、わがままが許される環境にあると言う事が、のひ太から、前向きに努力する気持ちや根気、自立心や競争心を奪っていると言うのも事実。そして、そこにドラヘもん君と言う新しい家族の一員が加わる事によって、のひ太に反発心や対抗意識を持たせ、自ら行動を起す人間にさせるべく、意識改革を目論むと言う方針にも、異論をはさむつもりは無いんだ。だがね~、あんなに興奮して怒鳴るのひ太を見るにつけ、本当にこのやり方は正しいんだろうか、私達は、何か大きな間違いを犯しているんぢゃないんだろうかって言う気持ちも、無きにしもあらずって所なんだよ。」

ドラヘもん「あちゃ~!!パパさんの、その優柔不断さ。それがアイツを駄目にする最も大きな諸悪の根元デスわ。ええデスか、パパさん。子供なんちゅうのは、甘やかしたらあきまへん。飴と鞭・・・ぢゃ無え、愛の鞭と言って、時には子供を谷底に突き落とす事も、親の大事な役目なんぢゃあないんすかい?」

ママ「でもね~、ドラちゃん。私達は、のひチャンが、人様に迷惑をかけない、やさしい人間になってくれさえすれば、それで良いのよ。」

ドラヘもん「あ~あ~あ~あ~!!駄目駄目駄目~!!ママさんまで、そんな甘っちょろい事言って!!ああ言う駄目人間を世の中に送り出しちゃあ、世間の良い笑い者になるのは、あんたら両親でっせ。そないな事ばっか言うて、ガキを甘やかすから、ほれ、17歳で殺人だとか、30過ぎてロリコンだとか、そんな人間の屑ばっかの国になっとるでしょうが~、この日本ってやつは。あいつかて、いつそうなるか。お~怖!!」

パパ「う~む、そうだねえ・・・。」

その時、ボクは、自分のこころの中に、意味不明の怒りが込み上げてくるのを抑える事が出来なかった。今なら、その気持ちを上手く説明出来るかも知れないが、その時のボクは、あまりにも純粋無垢であったのだ。ボクは、その瞬間、怒りの衝動に身を任せる以外に、ボクがボクであるための、自分が自分であるための何かを守る事が出来ないと、本能で感ぢたのだ。

そして、力いっぱいドアを開けると、ボクは叫んだ。

「だ、騙したな~!!パパもママも!!大嫌いだ!!もうたくさんだ!!ボクは、ボクは・・・、ボクはパパとママの、ましてやそんなロボットの操り人形なんかぢゃ無いんだ!!」

そう怒鳴り散らすと、ボクは再び2階へと駆け上がり、自分の部屋に閉ぢこもった。

そして、この日を境に、ボクとドラヘもんの200日戦争は、パパとママをも巻込んだ肉親同士の憎悪戦争へと突入したのだった・・・。

(つづく)

ああ、ついに親子の絆も完全決裂し、家庭崩壊への坂道を転がり落ちる、のひ家の人々。本当に間違っているのはパパやママか、あるいはのひ太、それともドラヘもんなのだろうか?のひ太の純真なこころは、今まさに、無残に、粉々に砕け散った・・・。