引きこもり生活2ヶ月目、ボクは一ヶ月前に起きた、あの忌わしい出来事を思い出していた・・・。
パパ「ドラへもんく~ん!!」
居間から、パパが大慌てで飛び出してきた。
そう。怒り心頭のボクは、ついにあの憎きドラへもんを、階段から突き落としてしまったのだ。黒煙を上げながら、ピクリとも動かぬドラへもんの前に立ち尽くし、パパが更にこう言った。
パパ「のひ太!!お前は何と言う事をしたんだ!!ドラへもん君はな、お前の・・・。」
ママ「パパ!!それは・・・!!」
パパ「・・・むむ・・・、そうだな。」
のひ太「何?何?ドラへもんがボクの何だって言うのさ!!」
パパ「いや、何でもない。」
のひ太「何でも無いってどう言う事さ!!パパはボクに何か隠してるんだ。」
ボクは、勢い余って、パパを突き飛ばした。すると、パパはもんどりうってひっくり返った。ボクはこの時、パパの意外な弱さに驚くと共に、大いなる失望を感ぢていた。
ママ「パパ!!パパ!!・・・のひちゃん、あなた、パパに何て事するの!!」
のひ太「うるさい!!」
ボクは、ママをも突き飛ばし、2階にある自分の部屋にかけ込んだ。階下からは、ママの泣き声がかすかに聞こえてきた・・・。
その日、ボクら家族に決定的な亀裂が生ぢた事は言うまでもない。パパもママも、その日から、ボクの引きこもりに対して何の批判もする事無く黙認し、ただボクに食事を運ぶためだけの存在となった。
そしてママには、メモを通ぢて、マンガを買いに行かせ、パパの使ってなかったパソコンを部屋に運び込んだボクは、いつまで続くとも知れぬ怠惰な生活に溺れてきっていた。
とは言え、勉強もしなくて良いし、もちろん学校にも行かなくて良い、更には誰かにイジメられる事も無い。何の能力も、取りえさえも無いボクにとっては、これぞまさしくパラダイスだった。
パラダイス・・・。そう、地獄と言う名の・・・。
(つづく)