とある日、知り合いの同業者の店を訪ねた時のお話。
その店の社長だけでは無く、そこの店員のバイト君とも知り合いなのだが、その日はバイト君の他に、更に、バイト君とも私とも共通の知人が、客として来ていた。
何でも、高円寺で生田敬太郎のライヴがあるので、せっかく神奈川から出てくるのだからと、最寄り駅の同店で時間つぶしをしていたらしい。
そんなこんなで、挨拶代わりの会話を済ませると、私は売り場のレコードをパタパタとチェックし始めたが、二人は相変わらず世間話を続けており、それだけなら、仕事の少ない中古レコード屋の、ただの日常の良くある光景なのだが、店員が発したある一言に、私は衝撃を受けた・・・。(他のセリフは記憶薄にて、多少脚色アリ。)
客「そろそろ年末ジャンボの発売日デスね。」
店員「え~?どうせ、当たんないでしょ。」
客「ボクは買いマスよ。毎年買ってマスからね。」
店員「当たったら、もう来ないんでしょ。」
客「当たれば良いんデスけどね。」
私「ちょっと待った!!」
いやはや驚きのあまり、私は思わず大声を上げた。
「当たったら、もう来ないんでしょ。」って!?
あ~た(貴方)、今、何気なくさらっと言ったけど、何それ!?別に、今まで通り来るでしょうに!!
その店員があまりに無意識に自然体で言うもんで、客の方はそのセリフを気にも留めなかった様だが、宝くぢが当たった途端に会いに来なくなるだなんて、どんな冷たい人間だっちゅうの!!
あるいは、大金を手に入れたら、もう足を踏み入れる事さえ無い場所って一体・・・?ここは金融会社か、はたまた貧しい者の集う貧民街かっちゅうの!!
「当たったら、もう来ないんでしょ。」って・・・。
でも、確かに・・・。宝くぢが大当たりしたら、一瞬で別世界の住人だものな・・・。知人に知られたら、ロクな事にはならねえよな~・・・。