Mr.エレクトの独り言 禁未来小説「ドラへもん」その26「自由の意味」の巻
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

禁未来小説「ドラへもん」その26「自由の意味」の巻

恐れていた事態が、遂に訪れた。パパとママの不仲は深刻で、とうとうママが家から出て行ってしまったのだ。

「んもう!!パパの甲斐性無し!!」

ボクは、その元凶である自分の行状を棚に上げ、パパのだらしなさに対して不満を募らせていた。

そして、その日の深夜。いつもは用意してあるはずのボクの食事などあるはずも無く、食卓の上には一個のカップ麺がポツンと置いてあるのみであった。

「ええっ~!!この、のひ太様の食事が、こんなチンケなカップ麺一個だって言うの!?」

しかし、文句を言っても始まらない。ボクはお湯を沸かすと、部屋で一人、カップ麺をすすった。

ああ・・・。昔は良かった。なんで、このボクが、こんな惨めな思いをしなくちゃならないんだ!!

別にカップ麺が嫌いな訳ぢゃない。インスタント食品世代のボクには、慣れっこだもん。

それに、ボクは何も、高級料理が食べたい訳でも無ければ、贅沢な暮らしがしたい訳でも無かったんだし・・・。

ママが去り、ボクに残されたのは、料理の出来ない、使えないパパと、この狭い部屋の中だけの、ほんのわずかな自由だけ。

いや、違う!!ボクには、自由すら無い!!

・・・そう。本当の自由とは、“やりたい事を自由にやる事が出来る”権利であり、能力の事だ。

今のボクにあるのは、言わば“何もしなくても良い”自由であり、すなわち、それは単なる義務の放棄であり、責任逃れであり、現実逃避でしかなかったんだ。

ボクは、ただ生きているだけ・・・。

死ぬ勇気が無いから、ただ惰性で生きているだけなのさ。

(つづく)