Mr.エレクトの独り言 ミステリー小説「恐怖映画」その①
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Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

ミステリー小説「恐怖映画」その①

その映画は、いつ作られたともなく、誰も知らぬ間に、映画会社のフィルム倉庫に保管されていたと言う。

物好きな男性社員が、古いフィルムを検査する際、ほんの興味本位で、その映画を観たのが、すべての始まりであった。

それは、何と言う事の無い、古典的なホラー映画だったのだが、その男性社員は、その映画を観終わるや、急に具合が悪くなり、珍しく早退したのである。

翌日。男は、その映画に、何か不吉なものを感ぢつつも、どうしても、もう一度観たくなり、仕事の合間に、またもその映画を観てしまった。

ところが、その日は、身体の具合も悪くならず、むしろ、昨日は気づかなかった、その映画の魅力を発見し、男は来る日も来る日も、その映画を観続けた。

しかし、そんな所業が、何日も続けられるはずも無い。ほどなく、その奇行は、男性社員の上司の知る所となる・・・。

上司は言った。

「お前、なんでそんな映画ばっかり観てるんだ。」

男性社員は、こう答えた。

「それが、私とイタシマシテも、何とも不思議としか言いようが無いのデス。しかし、どうしても、もう一度、またもう一度と、観たくなってしまうのでありマス・・・。」

何を言っとるか・・・と言わんばかりに、呆れ顔を露にした上司だったが、それでも、どこか好奇心をくすぐられたのか、それぢゃあワシも・・・とばかりに、部下に指示を出し、その映画を鑑賞する事と相成った。

・・・すると、映画が進行するにつれ、上司の顔つきが、みるみる変わって行くではないか・・・。

「こっ、これは・・・!!」

(つづく)