Mr.エレクトの独り言 ゴキブリコンビナート鑑賞記(2006.7.16.)

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

ゴキブリコンビナート鑑賞記(2006.7.16.)

ゴキブリコンビナート第20回公演「そよ風のささやき」at 旧淀橋第三小学校跡地グラウンド

今回は、3日公演のうちの中日を観劇。野外公演だと言うのに、雨続きで心配だったのデスが、この日は運良く雨も止んでくれマシタ。

公演場所は、当店から自転車で3分程度の近場にある、廃校となった小学校の跡地を再利用している文化施設で、日頃は主に、落語の公演や、合唱団の練習や発表会等に利用されている模様。そんな健全な施設のグラウンドの一部を借りて、ゴキコン念願の野外公演が実現した訳だから面白い。

使用されている敷地は、広さから言えば30~40坪程度だろうか。野外とは言うものの、グラウンド内に、高校の教室を二つ並べたくらいの大きさの、木の壁に取り囲まれた小屋的なものが一応あり、しかし屋根や天井が無いため、野外公演ならではの解放感は期待出来そうだ。今の所は・・・。

そして中に入ると、今回は、ステージを客席が取り囲む形となっていた前回の公演とは正反対に、地面むき出しの中央部分が客席となっており、その周りを、ビル工事の際の足場の如く、木材を組み合わせて作った、客席から見上げる形となる立体的な通路が取り囲み、更に前方と後方には若干広めのステージ部分が、バラック的にラフに設営してあった。それらを見ていると、何だか、小学生時代に、建設現場の資材置き場で勝手に作って遊んだ秘密基地なんかを思い出す。・・・とは言え、周辺を取り囲む上方通路の数ヶ所には、クレーンによって上下するドラム缶が吊るしてあったりと、その構造がもたらす空気が、この先、何かが起こる不穏な予感を充満させていた。

さて、物語のあらずぢであるが、簡単に言えば、前回の作品が、不幸が不幸を呼ぶ、“逆わらしべ長者”的、同時多発的な負の連鎖であったとするなら、今回は、時空を遡り、原始時代にまで連なる負の連鎖、否、負の歴史が続々と暴き出され、総登場した先祖の面々が、その末裔に対し、呪わしき因果の継承を断ち切る事を要求すると言う、何とも荒唐無稽なストーリー展開であった。(・・・と、だいたいそんな所。実は、もう正確には覚えていないので・・・。)

また、シナリオとは別に、特筆すべき点はと言えば、役者達の体当たりの演技はもちろんの事、数分おきに、中央客席スペースへと乱入する、移動式ミニ・ステージ(しかも2台)のもたらす効果であろう。役者を乗せたその台車が、客席を右に左にと動き回る度に、観客は逃げ回らねばならず、これらは、鑑賞中における緊張感を持続するための刺激剤であると共に、ある種、観ている者までが劇中への参加を強制的に強いられる事により、役者に対してのみならず、観客同士にも連帯意識の様なものが芽生え、知らず知らずのうちに、作品に対する感情移入度を高めさせられてしまうと言う効果があるものと思われた。

実は、ゴキコンの演劇を観て、常に感ぢるのは、ここの所。要するに、観客である私達が、ただ観ているだけでは済まされず、あくまでフィクションであるはずの劇中に、いつの間にか配役されてしまっている点である。そして、それは私達に、良識ある市民面を装った無責任な傍観者である事を許さず、恐ろしい事に、自分が差別する側であるのか、もしくは差別される側なのかと言う、個人個人の立ち位置を明確にする事さえをも要求してくるのであった。更に、もっと解りやすく言うならば、これは、劇中に登場する“不幸な人達”、“不遇な人達”、“不具な人達”に対し、眉をひそめるのか、笑いとばすのか、そのどちらを選ぶのか?と言う、問いかけでもあるのだ。

そもそも、ゴキコン演劇の真骨頂と言うか、その目論みとは、人々が真っ当な社会生活を営むために日頃は押し隠している利己的な本性、そんな人間の醜い本質を引き出す事であると、私は考える。何と露悪趣味な?そうかも知れない。しかし、劇中、欲望をむき出しにして獲物に群がる障害者や奇形児達の、無邪気・・・と言うか、純真無垢な姿を目の当たりにし、そして、自分も含め、その醜態を見てゲラゲラ笑っている観客を見るにつけ、この状態こそが、人間の自然な、あるべき姿であるとさえ思えてくるのだから、何とも不思議なものである。

人間なんて、下らない・・・とは、思わない。かと言って、素晴らしいとも思わない。しかし、自分のこころに押し隠した醜い部分や、弱い部分、ずるい部分を、自覚しているのといないのでは、大きな違いがある。

自分のこころに正直な者は、その醜さに耐え切れず、劣等感を抱くのが常。しかし、自分のこころに潜む醜さに、劣等感を抱く必要など無い。

人間なんて、しょせん欲望の権化。人間なんて、そんな大した生き物ぢゃない。・・・そう思えた時、私は何だか、こころが軽くなった気がした。

そう。人間にとっての、本当の強さとは、自分のこころに正直に向き合い、さらけ出せる勇気の事を指すのだ。

世間では、正直者はバカを見ると言う。

しかし、だからこそ、正直者に勇気を与える劇団、ゴキブリコンビナートの存在意義があるのだと、私は考える。

ゴキコンがやらねば、誰がやる!!(←こればっか。)

(報告オワリ)

↓今回の公演告知フライヤー。

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