Mr.エレクトの独り言 あざらし「アザラシイズム」CDレビュー

Mr.エレクトの独り言

自主レーベル及び、日本人中古貴重盤ショップ、『エレクトレコード』オーナー、Mr.エレクトによる独舌日記!!

あざらし「アザラシイズム」CDレビュー

★あざらし「アザラシイズム」(CD)¥1500
曲目:少女椿、白痴、アザラシイズム、想像妊娠、残刻、呪怨ノ唄。(全6曲+ボーナス・トラック収録)

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鳴り響く警報と地を這う様なベースのイントロから幕を開ける本作は、深い絶望感と、その果てに芽生えた殺意とをむき出しにした、“あざらし”ならではの、実に禍々(まがまが)しい作品であり、「これこそが“アザラシイズム”なのだ」と言う説得力に満ちている。

収録されている楽曲に関しては、暗いフォーク・ソング、あるいは童謡にも似た哀感溢れる力強いメロディーを、パンク・ロック特有のスピーディーかつ激しいサウンドに乗せたものが主だが、緩急を生かしたドラマティックな展開の作品も、感情の機微や抑揚が自然に反映されているためか、楽曲の構成に全く違和感を感ぢさせず、この辺りは相変わらず見事としか言いようが無い。

また、性急なドラムのビートや下腹部を駆け巡り内蔵をえぐるかの如きベース・ラインも心地良いのだが、モノ・トーンになりがちなパンク・ロックのサウンドを多様な音色で彩る新加入ギタリストの貢献も大であろう。

メグ子嬢の確信に満ちた歌声と残虐ですらある攻撃的な歌詞は、時に威圧的に響くが、これらは間違っても満ち足りた者の振りかざす刃物などでは無く、その根底には生存の危機にさらされた弱者の必死の抵抗、焦燥、孤独、虚無感が横たわっており、それらはあくまでも、踏み躙られ殺されかけた己が自尊心を守るための、そして、こころの底から「生きたい」と願う者の切実な叫びなのだ。

更に、歌詞においては、この世の美と醜との価値観に弄ばれ、魂の生と死の狭間でもがき苦しむ独りの少女のこころの葛藤が生み出した、自虐的かつ猟奇的な経血まみれの妄想地獄が徹底的なまでに描き出されており、過度な露悪趣味に血塗られたそれらは、表面的には極めて不純にして不浄なものではあるのだが、その実、暗闇を欲するがあまりに自分の目を潰してしまったあげく、血の涙を流しながらも光を求めて彷徨うかの如き矛盾し相反する性質をも内包しており、私にとっては、まるで迷子の子供が泣いているかの様な、無垢なる純真さをも感ぢてやまないものなのである。

・・・とは言え、この様な個人的な感情表現と言うものは、通常、無視され見過ごされてもやむを得ないものである事も事実。しかし、そう言う意味では、だからこそ、これらは何かしらの共感を覚える者のためにあるのだと言い切っても過言では無い。

私は私、貴方は貴方、誰もが皆、自分の唄を歌えば、それで良いのだ。

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