火曜日。憂鬱な日。虚弱体質のボクにとって、この日の学校は、耐え難い屈辱と断末魔の苦しみを同時に味わさせられる、地獄の儀式が待ちかまえている曜日なのであった。
・・・そう。全校朝礼。この無意味な苦行は、理不尽なる管理社会の縮図でもあり、この世における支配と服従の共謀関係をも映し出している。
しかも、前の学校では月一回だったのに、今度の学校では月二回と来てやがる。それに、ただでさえ体力が無いってのに、数ヶ月のヒキコモリ生活によって、ボクの身体は更に弱っており、撃沈してしまうのは、もはや時間の問題なのであった。
うう・・・。こうして立ってるだけでも、足がしびれて、頭の中から血が引いてくのが解るよ。
更に、よりによって、この日は、校長の黒原の訓話も長い長い・・・。どうやら、最近、いぢめによる自殺が流行してるため、うちの学校でもそんな事があると、自分の立場が危うくなるもんで、敏感になっているようだ。
黒原曰く「私の学校の生徒諸君は、いぢめなんてしてないだろうが、くれぐれも、そう言う非人間的な事はしないで頂きたい」・・・トノコト。
くっそう!!何言ってやがる。生徒一同を校庭に並べて、偉そうに長話してるお前のやってる事の方が、非人間的ないぢめ行為だっちゅうの!!だいたい、学校における厳しい規則や行事は社会に出た時のための集団行動の訓練だとか言うけど、別に皆が皆、そう言った管理体制の厳しい職種に就いたり、共同作業が必要な仕事をする訳ぢゃないし、それを無理矢理、皆同様、生徒全員に強制するなんて、ファシズム以外の何物でもないよ!!校長の黒原は、権力者の地位に上り詰めた愉悦に浸りたいがためだけに、ボク達生徒、並びに教師全員を自分に従わさせて喜んでる、ただのサディスト野郎だ!!
(・・・その時のボクは、その校長の黒原ですら、教育委員会から過大なるプレッシャーをかけられ、現在の地位を保つ事で精一杯の、社会から見れば弱者的な存在でしかないと言う事までには、思考が及んではいなかった・・・。)
うぅぐぐぐ・う・ぎ・ぎ・ぎ・ぎ・・・。脳味噌からは腐敗した汁がこぼれ出し、骨と関節は今にもバラバラに砕けてしまいそうだ・・・。
何で・・・。
何で・・・。
何で!!
何のために、こんな事しなけりゃならないんだ!!
わざわざ落ちこぼれを作り出すための、駄目人間を選別するための、まるで、管理社会への忠誠心を試すかの様な、この馬鹿げた苦役!!
これが地獄の儀式でなくて、何だって言うんだ!!
ぅぁぁああああああああ!!
ボクは・・・。
ボクは!!
・・・ピストルが欲しい。
(つづく)