もう限界だ・・・。
せめて、ボクにもう少し体力があれば・・・。
いや、違う!!
ボクが欲しいのは、この朝礼、すなわち、管理社会に忠誠を誓うための儀式に耐えうる体力なんかぢゃない。
ただただ、この理不尽な強要に抵抗出来るだけの“力”なんだ・・・。
ああ!!ピストルがあれば!!
今すぐにでも、あの黒原の頭をぶち抜いて、こんなふざけた儀式なんかぶち壊してやるのに・・・。
・・・と、ボクは思わずしゃがみ込んだ。
途端、駆け寄る教師。
・・・いつもの事さ。ボクは、本当に気を失って倒れてしまうその寸前まで耐える事さえ出来ず、すぐに白旗を上げてしまうんだ。つまる所、忠誠心や体力どころか、精神力すら弱・・・否、精神力すら無い、正真正銘の真性駄目人間なのさ。
教師は言う。
「おい、大丈夫か?もう少し頑張れないか?」
頑張る?何を?どう?
・・・と言うか、そもそも、ボクには、“頑張る”って事が、自分の身体のどこをどう動かす事なのか、どこにどう力を入れれば良い事なのか、それすら解らないってのに・・・。
そして、教師に肩を貸してもらい、屠殺場へ向かう家畜の如く、保健室へのお決まりのコース・・・。
ぼんやりとした虚ろなボクの脳裏に、黒原の声が木霊する・・・。「もし、いぢめられている生徒が居たなら、いぢめに負けないで、勇気を出して戦って欲しい」・・・。
勇気?
だから、勇気って何なんだよ!?
(つづく)