★ゴキブリコンビナート第21回公演「アンドロゲン・レインボー」2006年9月15~18日。会場:中野光座。
中野光座とは、中野駅から徒歩2分、私の自宅からも自転車で5分の場所にある、おそらく元は映画館だった建物。
よって今回は、舞台があり、きちんと座席のある小屋での公演。
しかしながら、あのゴキコンの演劇が舞台上のみで収まるはずもなく、早速、舞台中央から客席後方に伸びる花道の様な通路や、開場の左右壁際通路にて、役者の熱演が始まり、舞台手前右前方で観劇していた私も、出演者の唾を目の前で浴びるはめに・・・。
そしてそして、客席の頭上全体を覆う様に、丸い穴のたくさん空いた大きな板が天井の如く設置されていたのだが、劇中、突如、その板が下降。まさか観客全員が押しつぶされるのか?と思いきや、「あっ!そうか!!」・・・。何と、肩付近まで下降した天板の丸い穴から観客全員が首を出し、観客席は、まるで「もぐら叩きゲーム」のもぐらが地面から顔を出した状態、あるいは、ギロチン絞首刑後に、斬首した生首がずらっと並べられたかの如き状態に・・・。
そんな状態のまま、観客の生首が突き出た地面、すなわち天板の上をも舞台と化し、縦横無尽に走り廻る出演者達。更には、醤油を口から噴出したり、果ては天井から吊るした木の枝に何人もがぶら下がり、ジュースを飲み出す始末。下に居た人は、いつ飲み物をこぼされるかと気が気でなかったものと思われる。
とまあ、いつも通り、会場全体を利用した特殊なセットもさる事ながら、相変わらずの身体を張った危険な芝居ゆえ、人身事故にだけは気をつけて頂きたいと、心配なぞもしてみたりして・・・。
さて、それでは物語の内容であるが、良く考えてみれば、後にDVD-Rで販売もしている様なので、あまり解説するのは良くないかなとも思いつつ記すが、やはり前回の公演から日数もわずかであった事から、フライヤーに記載されていた当初のストーリーからの変化が見られ、短期間で無理矢理仕上げた苦労の跡が窺えた。とは言え、相変わらずのゴキコン節と言うか、社会の底辺に蠢く者達が憎み合い罵り合う生き地獄の連鎖の果てに、何故かハッピー・エンド(?)が待っていると言う、八方丸く収まる(?)エンディングは、流石、生命力の強い“ゴキブリ”を劇団名に冠しているだけに、虐げられた者達にとっては救いの福音書となるものであった。・・・のであろうか?(^^;)
何にせよ、臭い物に蓋をするのでは無く、汚いものや醜いものをとことんさらけ出す事によって、人間なんて偉そうにしていても一皮剥けば皆同ぢと言う批判精神溢れるメッセージを、上からの目線ではなく、社会の底辺である最下層から突きつけるかの、ゴキブリコンビナートの活動及び理念には、半ば呆れつつも、賛同の意を隠せない私なのであった。
ゴキブリコンビナート。それは、“奇麗事”を徹底的に排除した、現実直視的本質追求型の演劇集団なのである。
でも、実際に、ゴキコン演劇の登場人物達みたいにはなりたくないな~・・・。
なんて言ってみたりして・・・。(^^;)
(報告オワリ)
★↓当日のフライヤー。
