思えば、最初の受け答えがマズかった・・・。
片付けないで放っといたらどうなるのかと私が問うと、火星人曰く、ビルの入口と当店のドアに、「このビルは防火対策がなされていない危険な建物である」との紙を貼ると言う。
その答えに対し私は、「なんだそのくらいなら別に・・・どうせ店も休みだし、そんなの貼ってあるぐらいでこのビルに立ち入らなくなる様な人は元からうちには来ないし・・・」などと、あちらの脅しを軽視する様な口を利いてしまったのだ。
すると火星人。「他の階の人達に迷惑」だとか「勧告を無視し続けると営業停止も有り得る」なんて言いやがる。
むむむそうか・・・他の階の人達に迷惑かける訳には行かないし、いくら長期休業中たって営業停止くらうのは流石に困る・・・。
そして更に火星人、「金曜日(二日後)にまた来るから、それまでにここ全部片付けといてね。」・・・だなんて無理難題を・・・。
やべえ!!あんまり逆らい過ぎて、火星人のご機嫌を損ねたらしい!!こりゃ少しでも手心を加えてもらわにゃ!!
私「いやホント、こっちも片付けたいのはやまやまなんデスけどね、でもこの不景気でしょ?うちも家賃滞納とかしてて大変なんスよ。だから月末のこの時期は一分一秒でも仕事してたいもんで、だから金曜日までにいくらか片付けて誠意を見せマスから、それで何とか情状酌量を・・・。今日だってホントはこうやって仕事の邪魔されて迷惑なんスから。」
火星人代表「迷惑・・・って!!」
私「あ!!いやいや、ちょっと悪い言い方しちゃいマシタけど、まあそれも本音なんスよ。だから逆に、いっそしょっちゅう見に来て下サイよ。あさって(金曜日)にまた来るって言われちゃったからには、その日までにはいくらかは片付けて減らしときマスし、そんでまた何日か後にまた来れば、またこっちもいくらか片付けとかなきゃいけなくなるし。しょっちゅう仕事の邪魔されるよりはさっさと片付けた方が楽ッスから。」
火星人代表「とにかく!!金曜日にまた来るから!!」
・・・と、火星人は一旦引き上げた・・・かに見えた。
しかし、ほんの数分後に、またドアをノックする音が・・・。
果てしない攻防戦は続く・・・。
(つづく)
それにしても、昨年末に当ビルへ調査に来たあの男の、まるで百年に一度の大きな獲物を見つけたかの様なサディスティックな笑みにはゾッとさせられたものであったが、その後何の音沙汰もないため、私はすっかり安心しきっていたのであった・・・。
しかし、今回はこんなに大勢で・・・。これはあちらも相当本気で地球征服を考えているに違いない・・・。
そこで私は、せめてもの時間稼ぎを図ろうと、ドアから首だけ出して、代表らしき男にこう言った。
私「いや~!!いつか来ると思ってたんデスが仕方ない。解りマシタよ。でもこれだけの品物を移動するのも大変だから、ちょっと知り合いとかに車でも出してもらわないと・・・。」
とかなんとか言って、とりあえず火星人御一行にお帰り願った私は、もちろんそんなの後回しにして、引き続き仕事を再開するのであった。
何せ月末の超キビシイ時期であり、しかも今日は体のコンディションが万全と来てる。こんな日には出来る限りの仕事をしなくちゃよ~!!
・・・と、30分くらいした後。またもドアをノックする音。
うるせ~な~!!こちとら只今絶好調で仕事中だって~のに・・・。
開けると、何とまたあの火星人どもが!!そして件の代表らしき人物が開口一番こう言った。
火星人代表「どう?車出せそうな人は見つかった?」
ええぇ~!!そんなさっきの今で、そんな都合良く手伝ってくれる人が見つかる訳ないし、そもそもこっちは今日明日すぐに片付ける気なんかこれっぽちもないっちゅ~の!!
私「いやいやそんな、こんな昼間っから無理ッスよ。みんな仕事してる時間だし。それに、車で運ぶったって、他に収納する場所がある訳でなし、結局どっかに捨てにいかなきゃいけないんだから、そんなすぐには片付けられっこないッスよ。」
すると火星人代表・・・。
火星人代表「こんな状態で、もしビルが火事になった時に下から人が逃げて来ても、こんなに物がおいてあったらマズイでしょ?」
私「下から逃げて来るったって、こっから屋上へ出るドアに鍵がかかってるんだから、みんな死んぢゃいマスよ!!うち(当店)のドアだって閉まってる訳だし。それにうちの従業員たって二人だし、店開けてる時(現在長期休業中)だって、こう言ったマニア・ショップってのは客なんてほんのわずかしか来ないんだから大丈夫ッスよ。」
火星人代表「それぢゃあHOUKA(←こう言う刺激的な言葉はあんまり使いたくないのでアルファベットにて)されたらどうすんの?他の階の人も迷惑するでしょ?」
私「確かにそれを言われると弱いッスね~。いえいえ、片付ける気がないって言ってる訳ぢゃないんデスよ!!ただ、今はどこも不景気で、うちも家賃とか滞納してて超キビシイ時期なんで、ちょっと待って下サイって言ってるんデス。それに一ヶ月とは言いマセンよ。何とか月末まで(←その日から10日程度)には何とか・・・。」
火星人代表「そんな貴方、月末までなんて待てマセンよ!!」
ひえ~!!昨年来た男と違い、今回の調査団は本気っちゅうか、今日明日にでもやらなきゃ許してもらえない雰囲気・・・。
地球危うし!!
(つづく)
ところで、御存知の通り、私は店内で仕事をしている時はたいていパンツ一丁なので、郵送物を受け取る時等はTシャツだけ着てドアを開け荷物を受け取るのであるが、よって今回もドアから顔だけ出して、彼らの対応をする事となった・・・。
作業着の様な制服に身を包んだ彼らは、年配の男性から若い女性まで・・・と4~5名おり、それぞれが5階にある当店のドアの外の階段部分をあれこれ見回している様であったが、40前後と思しき男性が私にあれこれ質問して来た。
話を聞くと、どうやら彼らは、(最上階であるのを良い事に当店が勝手に倉庫代わりに使用している)階段部分に置いてある荷物の山について、興味があり、調査をしているらしい。
当初は訳が解らず混乱していた私も次第に状況が飲み込め、「それで、あなた方はどこからいらっしゃたどちら様で?」と聞くと、彼らは「火星から来た」と答えた。
<注>火星人とは?・・・彼らが本当はどこの誰なのか、文章の内容から察してくれたまえ。火に関係のあるコケッコッコー務員とは、さて一体?
当店に来た事のある方ならお解りであろうが、当ビルの階段の幅は学校の校舎くらいあり、その壁際・・・三分の一くらいのスペースには、箱詰めされた(盗まれても良い程度の価値の)在庫の山が積み重なっている訳なのであるが・・・。
火星人代表曰く、数年前に起きた歌舞伎町だかどこだかでの雑居ビルでの火災の事例を持ち出し、これを全部撤去せよ・・・と。
それを聞いた私はこう思った。ああ・・・ついにこの日が来たか!!
・・・と言うのも、実は昨年の年末くらいだったであろうか、やはり火星人らしき男性が当店に訪れ、階段の壁際に積み上げてある在庫の山を見つけるや、まるで金銀財宝埋蔵金の在り処でも発見したが如く、かなり興奮気味に、何とかって法律に触れるからこれを片付けろと命令し、「また来るから」と帰って行った事があったのだ。
そしてその後、仕事が忙しい事ももちろんあるが、その男性が再び来ないのを良い事に、まったく片付けなどしていないどころか片付ける気すらなかった私なのであった。
しかも今回訪れた火星人は数名で本格的な調査に乗り出して来てる。
・・・となると、何ともかんともめんどくせ~話だが、こりゃあきらめて荷物を片付けるしかね~な・・・と、覚悟を決めた私なのではあった・・・が・・・。
(つづく)
私が出会った、この一大危機は、記録を残すに値する大抒情詩的な出来事であったと言えよう・・・。(by大損飢えるず)
水曜日。毎日、朝寝たり昼寝たり夜寝たり深夜に寝たり早朝に寝たり・・・と、不規則極まりない日々を送っている私であるが、それもすべて、この不景気な昨今に起因するものである。
現在、1週間ほぼ連日店に泊り込みで仕事仕事の毎日なのであるが、その最大の理由は、たまにしか訪れない体調の良い瞬間を逃したくないから・・・に他ならない。
何せ、仕事の殆どはパソコンでの作業。しかし非常に神経も遣う仕事であるため、体調が優れない時などは2~3時間作業しては横になり・・・を繰り返す様な事が本当に多いのだ。
しかし、この日は正午過ぎに起きたのだが、自分でも稀に体感するベスト・コンディションと呼べる体調であった。
しかも、出品すべき商品も店内奥の在庫スペースから大量にピック・アップしたばっかである。
そこで、「よし!!今日はバンバン出品しまくるぞ~!!」
・・・と、気合を入れて商品データ作りを開始!!
そして、2~3品目のデータを打ち込んでいた時であろうか・・・。
コンコン・・・と、ドアをノックする音。
誰だよ!!この絶好調な時に仕事の邪魔しやがってよ~!!・・・と思いつつ、もしかして郵便屋サンかしら?・・・と、ドアを開ける私。
するとそこには、作業着風の制服を着込んだ4~5名の人達が・・・。
私は直感した!!こいつら、地球の人間ではない!!おそらくは、この星を調査しに来た異星人に違いない!!
・・・と。
(つづく)
現在、月末に向けて猛烈に仕事中!!
ところが昨日、当店に火星人が大勢襲来して仕事の邪魔をして行きやがった。しかも、何やら明日もまた来るとの事・・・。
雇われている人間には自営業のつらさなんて解り様もないが、ましてや売り上げによって勤めている会社の存亡が左右される事のないコケコッコー務員には、不景気なんてムカンケーらしい。
まったく、この忙しいのに無理難題ばっか吹っかけやがって!!
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